『International Code of Phylogenetic Nomenclature (PhyloCode)』

Philip D. Cantino and Kevin de Queiroz
(2020年6月刊行, CRC Press, Boca Raton, xl+149 pp., ISBN:978-1-138-33282-9 [pbk] → 版元ページ

序文40ページを読んだが,1990年の立ち上げ以来,ファイロコードがたどった “苦難の道” がしのばれる.先日の本屋B&Bでの夜噺でも言及したが,分類を系統に “従属” させようとするファイロコード派の野望は内外の抵抗にすり減ってきているような気がするんだけど.ワタクシが知っている1990年代初頭のファイロコード胎動期は既存のリンネ命名規約を置き換えようとする鼻息の荒さを感じた.そういえば,キャロル・ケスク・ユン[三中信宏・野中香方子訳]『自然を名づける:なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか』にも,ファイロコード派をめぐる抗争への言及があったな:「ファイロコードというプロジェクトは,ヘニックが主張した厳密な分岐学的な命名方法をすべての生物に当てはめようとする」(p. 321);「真の問題点はファイロコードが分類学者による命名法に根本的な変更を迫っただけではなく,環世界センスへの配慮がいっさいなかった点にある」(p. 322).