『キリンの首』感想

ユーディット・シャランスキー[細井直子訳]
(2022年7月30日刊行,河出書房新社,東京, 239 pp., 本体価格2,700円, ISBN:978-4-309-20859-6目次版元ページ

読了&書評完了.本書は教養小説(Bildungsroman)と銘打たれているが,けっこうひねりがはいっていて,一筋縄では読めない “教養小説” だ.すでに熟年に達している “旧東独” 的な女主人公は,生物学を教える職業婦人としてのキャリアは積んでいるが, Bildung(成長)とも Entwicklung(発展)とも無縁な読後感が漂う.本書ではいったい「何」が成長したことになるのだろうか.旧東欧の唯物論生物学がキーワードかもしれない.

他の読者や評者はいったいどんな読み方をしているのだろうか.原書はもう10年も前に出版されているが,ドイツ国内での書評は今でも読める:

ワタクシの書評は9月はじめに時事通信社から各紙に配信されるとのこと.