『ビールと古本のプラハ』

千野栄一

(1997年8月20日刊行,白水社白水uブックス・1040],東京, 187 pp., ISBN:4-560-07340-6

内容的には「1989」年以降のプラハの話.著者自身が書いているように,前著である千野栄一プラハの古本屋』(1987年3月20日刊行,大修館書店,ISBN:4-469-21096-X)の続編ともいえる.旧共産主義政権のもとで流通しなかった“禁書”が,1989年以降,一気に市場に出回った話とか,20世紀初頭のチェコアヴァンギャルド系の古書の話題など,表題通りの内容がもちろん主なのだが,時おり,不可避的な時代の移ろいとか人間としての老いについての独白が印象的だった.この著者の手になる複数の本に,プラハの酒房〈黄金の虎〉が登場する.よほどお気に入りの場所だったのだろう.遺著となった千野栄一言語学フォーエバ』(2002年7月1日刊行,大修館書店, ISBN:4-469-21274-1)の口絵写真がそれだ.