『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』

フランセス・イエイツ[前野佳彦訳]

(2010年5月15日刊行,工作舎,東京,878 pp.,本体価格10,000円,ISBN:9784875024293版元ページ

【目次】
序 11

第1章 ヘルメス・トリスメギストス

古代エジプトへの回帰とヘルメス文献 20
ラクタンティウスによるヘルメス・トリスメギストス評価 26
アウグスティヌスにおるヘルメス・トリスメギストス批判 30
ヘルメス文献のラテン語訳 35
ルネサンス期の魔術再興 41

第2章 フィチーノの『ピマンデル』と『アスクレピウス』

ヘルメス文献の概要 44
創世記との類似点 50
『アスクレピウス』の名誉回復 72

第3章 ヘルメス・トリスメギストスと魔術

ヘルメス文書の魔術的側面 80
魔術マニュアル『ピカトリクス』 85
フィチーノと魔術 95
異教的反動とエジプト趣味 98

第4章 フィチーノの自然魔術

星辰魔術とネオプラトニズム 104
フィチーノプロティノス解釈 109
霊気理論と護符魔術 112
ボッティチェッリの《春》 121
中世魔術とルネサンス魔術の連続性 128

第5章 ピコ・デッラ・ミランドラとカバラ的魔術

ヘルメス・トリスメギストスとカバラ 134
自然魔術とカバラ的魔術 137
カバラの理論的基盤 143
自然魔術のカバラ的超越 147
〈セフィロト〉と神秘的な昇天 154
魔術とキリスト教 163
ヘルメス教とカバラ 167
異端者ピコ 174
教皇アレクサンデル六世による擁護 177

第6章 偽ディオニュシウスとキリスト教魔術の神学

偽ディオニュシウス的神秘主義 188
天使たちの世界と否定の神学 193
ルネサンス期の宗教と魔術の関係 203

第7章 コルネリウス・アグリッパのルネサンス魔術総覧

アグリッパの通俗的魔術概説書 210
 第一書/自然魔術 212
 第二書/天上的魔術 214
 第三書/儀典的ないし宗教的魔術 219
アグリッパと神官的魔術 223

第8章 ルネサンス魔術と科学

ルネサンス期における〈人間〉像の変化 228
ルネサンス魔術における「数」の重要性 231
ヘルメス教的カバラ主義者 236
中心としての太陽 238
科学的実践への解放 243

第9章 魔術批判 [1]神学的異議 [2]人文主義的伝統

[1]神学的異議 246
[2]人文主義者の伝統 248
宗教改革と魔術 257

第10章 十六世紀の宗教的ヘルメティズム

フランスのヘルメティズム受容 262
魔術ぬきのヘルメティズム 266
プロテスタント的ヘルメティズム 270
宗教的寛容とヘルメティズム 274
パトリッツィの〈新しい哲学〉 276
イギリスにおける宗教的ヘルメティズム 281

第11章 ジョルダーノ・ブルーノ――最初のパリ滞在

前提としての古典的記憶術 288
イデアの影について』 290
『キルケーの呪文』 298
ブルーノのイギリス訪問と隠された使命 302

第12章 ジョルダーノ・ブルーノのイギリス滞在――ヘルメス教的改革

オックスフォード大学にて 308
『勝ち誇る野獣の追放』 316
ブルーノのエジプト主義 320
『宇宙の乙女』 323
星座に結びつけられた美徳と悪徳 326
パリンゲニウスからの影響 330
星座のヘルメス教的改革 334
宗教的ヘルメティスト、ブルーノ 340
ブルーノ、〈太陽の都市〉、〈ユートピア〉 343

第13章 ジョルダーノ・ブルーノのイギリス滞在――ヘルメス教的哲学

コペルニクス的宇宙と魔術的上昇 348
ヒエログリフとしてのコペルニクス的宇宙 356
無限の宇宙、無数の世界 361
習合の信奉と衒学の嫌悪 369
宗教的和解の心象画 374

第14章 ジョルダーノ・ブルーノとカバラ

『天馬ペガソスのカバラ』 382
ブルーノの魔術研究 388
「天然自然」な活用 396
『三○の封印』 398
エジプト主義とフリーメイソンの前史 401

第15章 ジョルダーノ・ブルーノ――英雄的狂信家またはエリザベス朝の宮廷人

『英雄的熱狂』 406
神性に捧げる恋愛詩 408
〈聖なる愛〉の啓示体験 418
エリザベス女王崇拝への参加 423

第16章 ジョルダーノ・ブルーノ――二度目のパリ滞在

カトリック同盟〉支配下のパリへ 430
コレージュ・ド・カンブレでの公開討論会 437
カトリック再改宗の試み 444

第17章 ジョルダーノ・ブルーノのドイツ滞在

ヴィッテンベルク大学にて 450
フランクフルトでの出版 458
ブルーノの〈普遍学〉 476

第18章 ジョルダーノ・ブルーノ――最後の刊行本

『図像、記号、イデアの構成について』 480
魔術的図像による宇宙の内面化 488

第19章 ジョルダーノ・ブルーノ――イタリア帰国

ヴェネツィアでの投獄 498
ナヴァール王アンリへの期待 507
異端審問始まる 511
異端判決の根拠 518
シェイクスピアガリレオへの影響 520

第20章 ジョルダーノ・ブルーノとトンマーゾ・カンパネッラ

ブルーノを継ぐ者 528
カラブリア反乱 530
『太陽の都市』 537
教皇のための魔術儀式 546
カンパネッラの〈神学大全〉 550
カンパネッラの自然哲学 554
カンパネッラの政治思想 562
教皇庁との関係 566
フランス王国への接近 568
ブルーノとカンパネッラの対比 571
最後の〈魔術師〉 574

第21章 ヘルメス・トリスメギストスの年代同定以降

ヘルメス文献への死刑宣告 582
復古的ヘルメス主義者――ロバート・フラッド 588
復古的ヘルメス主義者――薔薇十字団 596
復古的ヘルメス主義者――アタナシウス・キルヒャー 606
ケンブリッジプラトン派とカゾボンによる〈ヘルメス文書〉の年代同定 615

第22章 ヘルメス・トリスメギストスとフラッド論争

メルセンヌルネサンス魔術批判 630
フラッドの反撃 637
フラッド対ケプラー 641
薔薇十字団の影 646
ヘルメティズムと科学革命 650
ジョルダーノ・ブルーノの真実 654
ヘルメティズム的法悦としての〈デカルトの夢〉 657


原註 663
訳注 737


解説:ルネサンス的均衡における魔術の内化[前野佳彦]811-868
 1. イエイツ:人と著作 812
 2. ルネサンス研究の本流における本書の位置 821
 3. ルネサンス的均衡における魔術の位置 825
 4. 〈内的労働〉の情念型としての〈メレンコレア I〉 831
 5. “イズム”としての宗教:内的魔術儀礼の世界 852


人名索引 877
著者紹介/訳者紹介 878