『温泉めぐり』

田山花袋

(2007年6月15日刊行[初版1926年],岩波書店岩波文庫・31-021-7],東京,380 pp., ISBN:9784003102176版元ページ

伊豆・北川温泉にてさくっと読了.伊豆箱根から始まって,上州草津伊香保の温泉群を縦断.紀伊半島から兵庫,北陸・能登を抜けて青森までぐるっと遠征.さらに,山陰を経て九州にいたる.別府・霧島の温泉めぐり.朝鮮と満州の温泉まで載っているのは彼の地が当時の “日本領” だったからだ.

巻末の亀井俊介の「解説」を読むと本書はもともと温泉ガイドブックのような本だったらしい.田山花袋の「温泉評価基準」はかなり厳しいようで,有名な温泉地であってもバッサリと切り捨てている.それにしても,著者は “湯分” だけでなく “鉄分” もそうとう多い.随所の欄外に書き込まれている交通ガイドは当時の鉄道敷設の進み方がわかっておもしろい.彼の “鉄分” は本書以前にすでに大ブレイクしていた:田山花袋[復刻版]田山花袋の日本一周』(2007年12月19日刊行[初版1915〜1917年,博文館],東洋書院,東京)すなわち:「前編:東海・近畿」(復刻版 ISBN:9784885944001|元本:大正3年4月8日刊行)|「中編:中国・九州・四国」(復刻版 ISBN:9784885944017|元本:大正4年5月4日刊行)|「後編:関東・東北・北海道」(復刻版 ISBN:9784885944024|元本:大正5年8月5日刊行)|別冊付録『大正四年版「時刻表」』.