『東京・京都・大阪:よき日古き日』

吉井勇

(2006年7月10日刊行,平凡社平凡社ライブラリー・581],東京,259 pp., ISBN:4582765815版元ページ

半分寝もってこういう本をめくるのは実にええもんですなあ.たとえば,この本に収められている「雑魚寝」というエッセイ(pp. 189-192).そう,「祇園の雑魚寝」のお話.裏山〜どころではなく,人生はかくあるべしとさえ思う.え,読んでみたいんか? ほな,どーぞ:吉井勇雑魚寝」(青空文庫).ええやろ,この情景.至福至福.うんうん.でも,こんなのを読んでしまうと,ぜんぜん寝られへんがな…….

「京都」を読み終えてから,続く「大阪」へ.そして最初にもどって「東京」の部を読み進む.吉井勇森鷗外の『ヰタ・セクスアリス』の原稿を飲み屋の棚に置き忘れてそのまま発見されなかったとしたら,あの作品は喪われてしまったということか(「原稿紛失」pp. 66-69).