『自然を名づける:なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか 』書名決定

キャロル・キサク・ヨーン[三中信宏・野中香方子訳]

(2013年8月28日刊行予定,NTT出版,東京,本体価格2,800円,ISBN:9784757160569

訳本の書名が正式に『自然を名づける:なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか 』と決まった.初校ゲラはすでに先月末に手元に届いているので,残る作業はそのチェックと「訳者あとがき」をさくっと書くのみ.

【目次案】
第1章:「存在しない魚」という奇妙な事例
  人類普遍である環世界センス(umwelt)が生物分類を支配する.


自然の体系

第2章:若き預言者
  リンネの分類理論と命名規約は環世界センスの発露である.
第3章:フジツボの奇跡
  ダーウィンの登場により自然の秩序は “血縁化” された.
第4章:底の底には何が見えるか
  マイアーの進化分類学は環世界センスを奥深く温存した.


直感の輝き

第5章:バベルの塔での驚き
  民俗分類は不文律としての環世界センスの属性を明らかにした.
第6章:赤ちゃんと脳に損傷を負った人々の環世界
  共有された生命観の個体発生と病的な分類不能症からわかること.
第7章:ウォグの遺産
  どんな生きものでも環世界センスによる分類能力はある.


科学の重圧

第8章:数値による分類
  数量表形学は数値さえあれば環世界センスは生物分類学には不要だと言った.
第9章:よりよい分類は分子から来たる
  分子分類学は不可視の分子情報こそ生物分類学にとって必須だとみなした.
第10章:魚類への挽歌
  分岐分類学は厳密な系統推定の論理こそ生物分類学のよりどころだと暴れた.


直感の復権

第11章:奇妙な立ち位置
  環世界センスは生物多様性を認識するうえで確かに役に立っている.
第12章:科学の向こう側にあるもの
  科学によって追放された環世界センスが分類学に再降臨するとき.


原註
訳者あとがき「環世界センス - 生物分類は科学なのか身体なのか」[三中信宏
索引



原書は:Carol Kaesuk Yoon『Naming Nature: The Clash between Instinct and Science』(2009年刊行,W. W. Norton, New York, viii+344 pp., US$ 27.95, ISBN:9780393061970 [hbk] / ISBN:9780393338713 [pbk] → 目次著者サイト書評リスト).