『旅する力:深夜特急ノート』

沢木耕太郎

(2008年11月30日刊行,新潮社,東京,289 pp., ISBN:9784103275138版元ページ特設ページ

読了.約30年前に出た『深夜特急』シリーズはまったく読んでいないが,このエッセイ集単独でも十分に読み応えがある.抜き書きをいくつか:

  • 「本来,未経験は負の要素だが,旅においては大きな財産になり得る.なぜなら,未経験ということ,経験していないということは,新しいことに遭遇して興奮し,感動できるということであるからだ」(p. 236)
  • 「それで,二十六歳くらいが外国への長い旅に出るにふさわしい,いわば適齢期ではないか」「確かに,そのくらいの年齢のときがちょうど旅に必要な経験と未経験を二つ併せ持っているのではないかという気がする」(p. 237)
  • 「二十代を適齢期とする旅は,やはり二十代でしかできないのだ.五十代になって二十代の旅ょしようとしてもできない.残念ながらできなくなっている.だからこそ,その年代にふさわしい旅はその年代の時にしておいた方がいいと思うのだ」(p. 244)

深夜特急』を小脇に抱えて世界に旅立っていった読者が多かったというのもうなずける.