「本書きのロールモデル」

ふらりと来室した研究者との立ち話.彼いわく,そろそろ単著で本を書きたいのだがいったいどう動いていいのかと.まずはどこかの出版社のいずれかの編集者にアピールして,自著の企画をもちこむのが先決だろうと答えたのだが,実はそれとは別の問題がありそうで.要するに,周りを見回しても「本を書いている人」がぜんぜんいないというシンプルな事実に戸惑う.前に読んだ:川上桃子本か論文か?台湾社会学者の学術コミュニケーション選択:3人の専門家へのインタビュー」で問われている二択問題への回答はワタクシの周囲ではとうの昔に決着がついている.その記事には「ロールモデルとなるような魅力的な書物との出会いがあるかどうかではないでしょうか」と書かれているが,もうひとつの重要な点は「ロールモデル」となる書き手が身近にいるかどうかということだろう.一冊の本を書き上げるというのは,気力と体力が必要な肉体労働なので,どういう時間配分と心構えで進んでいくかは,書き手の「ロールモデル」があるかないかではずいぶんとちがいが生じるだろう.