『きのこのなぐさめ』感想・目次

ロン・リット・ウーン[枇谷玲子・中村冬美訳]
(2019年8月19日刊行,みすず書房,東京, 311+vii pp., 本体価格3,400円, ISBN:978-4-622-08809-7版元ページ|「きのこが導く、魂の再生の物語」)

本書はノルウェーにやってきて長年暮らす中華系マレーシア人の著者が,つれあいを亡くした悲嘆の日々からきのこによって救われたというもの.ノルウェー産の野生きのこのカラー写真がふんだんに散りばめられていて,きのこの基本から始まり,きのこ探しの極意,有毒きのこの判別法,きのこの麻薬作用,さらにはきのこを食材とする絶品料理のレシピまで.やっぱり菌類はすごい! それにしても, “きのこ” 本がえてして人生の物語と深く絡めて書かれることが多いのはどうしてだろうか.きのこには人生にとって大事なものを悟らせる何かがあるのかもしれない.あるいはビアトリクス・ポター南方熊楠ジョン・ケージという “きのこクラスター” の有名人たちがあまりにも強烈な印象を残しすぎているからか.


【目次】
序文 7
きのこがひとつ、喜びひとつ。きのこがふたつ、喜びふたつ。 9
二番目によき死 37
秘密の場所 53
特別専門家集団 75
きのこへの疑念 105
フィフティ・シェイズ・オブ・ポイズン 125
ガリアミガサタケ──きのこ王国のダイヤモンド 151
五感への働きかけ 173
アロマ・セミナー 203
名もなき者たち 221
前菜からデザートまで 249
素晴らしきラテン語 275
天からのキス 297

きのこの作法 306

訳者あとがき

参考文献
きのこ名索引