『土葬の村』感想

高橋繁行
(2021年2月20日刊行,講談社講談社現代新書・2606],東京, 312 pp., 本体価格1,000円, ISBN:978-4-06-522544-8版元ページ

長い第1章は,奈良の十津川村の土葬習俗から始まり,三重の “お棺割り” ,丹波篠山の事例など.さらに京都の南山城から奈良の柳生にかけて残る土葬の風習と続く.第2章は野焼き火葬,続く第3章は琉球列島に残る風葬の習俗について.最終章「土葬,野辺送りの怪談・奇譚」はとりわけおもしろかった.この本にはすでに失われてしまった経験や伝聞が盛りだくさんだった.現存する習俗はもうわずかな “痕跡” だけであつても,それらの証拠から復元される葬儀祭祀に興味がある.

これも何かの縁なので,同じ著者の前著:高橋繁行『お葬式の言葉と風習:柳田國男『葬送習俗語彙』の絵解き事典』(2020年10月刊行,創元社,大阪, ISBN:978-4-422-23041-2版元ページ )も読まんとアカンかな.もっとさかのぼって:柳田國男葬送習俗語彙』(1937年刊行,民間伝承の会 → 国立国会図書館デジタルコレクション )もあるし,先々月には新装版:柳田國男禁忌習俗事典:タブーの民俗学手帳』(2021年3月刊行,河出書房新社河出文庫・や27-2],東京, ISBN:978-4-309-41804-9版元ページ )も出ている.柳田国男の語彙集はいずれも想像を掻き立てる.