『進化理論の構造 I・II』登攀記録(第7章)

ティーヴン・ジェイ・グールド[渡辺政隆訳]
(2021年11月20日刊行,工作舎,東京, 808 + 1,120 pp., 本体価格9,000円 [I]/11,000円 [II],ISBN:978-4-87502-534-4 [I] | ISBN:978-4-87502-535-1 [II] → 目次 [I]目次 [II]版元ページ [I]版元ページ [II]

第7章の登攀記録:2022年1月13日(木)〜14日(金) ——

  • #進化理論の構造 第7章「限定的な総意としての現代総合説」の短い第1節「なぜ総合説なのか?」(pp. 698-701).グールドは20世紀なかばの “現代的総合” は「限定的」であり同時に「硬直化」したと評する(p. 700).なつかしい表現との再会だ. posted at 11:19:12
  • #進化理論の構造 第7章第2節「限定としての総合説」(pp. 702-719).20世紀前半の進化学の主論点は獲得形質遺伝の棄却と内在論(突然変異説定向進化説)の降格だった.R・A・フィッシャー,J・B・S・ホールデン,J・S・ハクスリーを挙げ,進化的総合の第一フェイズ「限定」の多元的観点を論じる. posted at 09:44:19
  • #進化理論の構造 第7章第3節「総合説の硬直化」(pp. 720-752).この節はおもしろい.現代的総合を成し遂げたTh・ドブジャンスキー,E・マイアー,そしてG・G・シンプソンの著作の新旧版を比較して,初期の “多元的” な進化観がどのように「硬直化」していったかが具体的に論じられている. posted at 10:35:26
  • #進化理論の構造 グールドはこう書いている:「総合説が硬直化し,適応論そのものが受容の第一基準となったとき,木村[資生]の[中立進化]理論は,多くの進化学者にとって常軌を逸した考えに見えた(p. 723,脚註057).むべなるかな. posted at 10:39:34
  • #進化理論の構造 第7章第4節「ダーウィンの三本の太枝のうちの残る二つの硬直化」(pp. 753-782).自然淘汰の単位が「硬直化」の過程で個体のみに絞り込まれたのは,G・C・ウィリアムズ(1966)による「オッカムの剃刀」の誤用であるとグールドは断言する(pp. 764-765). posted at 11:23:41
  • #進化理論の構造 古生物学による地質学的時間スケールへの「外挿」については,総合説に当時の古生物学が「飼い慣らされ,総合説に取り込まれ,行儀よくしろと命じられてしまった」(p. 772)という.このあたりの論議と引用は1940〜1950年代のいくつかの進化学会議の論文集を参照すること. posted at 11:28:10
  • #進化理論の構造 第7章第5節「誇張されすぎた疑念から限度を超えた確信へ」(pp. 783-806).現代総合説が受容された “あと” の時代の進化学の描かれ方を,さまざまな生物学教科書をひもときつつ論じる. posted at 11:46:10
  • #進化理論の構造 総合後の時代にあっては,総合説は論駁の余地のない融通無碍さ,反論に対する愚弄と尊大な態度,その結果としての反対者の沈黙をもたらした(pp. 794-795). posted at 11:47:13
  • #進化理論の構造 —— 以上をもって,第I巻800ページ読了.しかし,まだ全体の半分も読み進んでいない.この果てしない試練はいったい何なんだ. pic.twitter.com/peJGmGJvhF posted at 11:52:46