『進化理論の構造 I・II』登攀記録(第9章)

ティーヴン・ジェイ・グールド[渡辺政隆訳]
(2021年11月20日刊行,工作舎,東京, 808 + 1,120 pp., 本体価格9,000円 [I]/11,000円 [II],ISBN:978-4-87502-534-4 [I] | ISBN:978-4-87502-535-1 [II] → 目次 [I]目次 [II]版元ページ [I]版元ページ [II]

第9章の登攀記録:2022年1月18日(火)〜20日(木) ——

  • #進化理論の構造 続く第9章「断続平衡説および大進化理論の正当性」が本書の “青木ヶ原樹海” かもしれない.この章だけで400ページ超という破格の分量もさることながら,ここを登りきらないと,その向こうに広がるという “涅槃の章” にたどり着けない.一冊の中に何冊も詰め込まれている心地ぞする. posted at 10:39:09
  • #進化理論の構造 第9章「断続平衡説および大進化理論の正当性」の第一1節「古生物学者の常識」(pp. 1042-1072)読了.前口上からしてすでに長い.断続平衡説はずっとそこにあったのに誰にも見えていなかったデータに光を当てたのだとグールドは言う. posted at 11:21:15
  • #進化理論の構造 第9章「断続平衡説および大進化理論の正当性」の第2節「断続平衡説の要点」(pp. 1071-1095)読了.この節は分断平衡説の元論文 Eldredge and Gould 1972 の解説文.ワタクシが読んだ30年前の読後感はもっと “テツガク” っぽかったが,グールドはアタリマエのことを書いただけと言う. pic.twitter.com/kqPkJTu5Rp posted at 13:07:29
  • #進化理論の構造 続)「断続平衡説が進化理論にとって重要なのは,小進化の仕組みを修正しているからではなく,種を個体化したことにあるのだ」(p. 1092)—— 分断平衡説が生誕した当時に「種を個体化」すると明言したのは Michael Ghiselin 1969. The Triumph of the Darwinian Method だったと思う. posted at 13:17:27
  • #進化理論の構造 第9章「断続平衡説および大進化理論の正当性」の第3節「断続平衡説をめぐる論争——批判と反論」(pp. 1096-1147)読了.系統推定論と関連づけた研究あれこれ. posted at 14:40:49
  • #進化理論の構造 第9章「断続平衡説および大進化理論の正当性」の第4節「断続平衡説を検証するためのデータ源」(pp. 1148-1216)読了.断続平衡説と漸進進化説を支持する/しないデータの総覧.(まだ先は長いぞ) posted at 16:54:55
  • #進化理論の構造 第9章「断続平衡説および大進化理論の正当性」の第5節「進化理論と変化に関する一般的な考え方に関して断続平衡説がもたらす広い意味」(pp. 1217-1342)読了.断続平衡説を生物学にとどまらず,文化進化論や科学史・科学哲学へと “アウトリーチ” させたことの意義.心地よい節かも. posted at 12:11:45
  • #進化理論の構造 続)本書全体にわたって100個近くの「註」が置かれている.総数は確かに多いのだが,総ベージ数を考えれば「註はほとんどない」とワタクシは判断している.なぜなら,300ページの(ふつうサイズの)本に換算すれば本書は6冊分にも相当するから,だから1冊あたり15〜16註になるだろう. posted at 12:35:33
  • #進化理論の構造 続)さらに言えば,グールド本の「註」は通常の意味での但し書きではなく,そのひとつひとつが “幕間劇” のような長文の内容となっている.だから,本文テクストとは別のパラテクストとして読まれるべきかもしれない.教科書によくある別枠の「ボックス」と考えるのが適切だろう. posted at 12:38:12
  • #進化理論の構造 「註079」(p. 1233)で,グールドは適切な生物レベルには適切な進化要因をもってくるのが分断平衡モデルにおける説明であると言う.個体レベルの論議に高次分類群をもちだしたり,逆に高次分類群の論議を個体レベルから “外挿” するのはまちがいのもとという主張だ.. posted at 12:42:02
  • #進化理論の構造 続)ただし,グールドは「種」以上の高次分類群には確たる “個体性” はないのではないかと疑念を提起している(p. 1275).おそらく,この点については,分岐学的な階層構造を前提とするエルドリッジと意見が異なっているだろう. posted at 12:46:02
  • #進化理論の構造 思い出話のひとつとして,グールドは大学院生時代に読んだトーマス・クーン『科学革命の構造』(1962)に大きな影響を受けたと告白している(p. 1337).分断平衡論文がの冒頭から,きらびやかに科学哲学が散りばめられていた理由がよくわかった. posted at 12:49:59
  • #進化理論の構造 続)続けて,そのパラダイム論は分断平衡説それ自身にもあてはまるのではないかとグールドは予言する(p. 1342).うん,確かにその通りだったかもね. posted at 12:51:43
  • #進化理論の構造 第9章「断続平衡説および大進化理論の正当性」最後の補遺「 断続平衡説の衝撃と批判に関する概ね社会学的な[ただし完全に偏った]歴史」(pp. 1343-1413)読了.アカデミアのみならず創造論者まで巻き込んだ当時の大論争を思い出してしまった.グールドの毒舌はたいしたもの. posted at 14:22:53
  • #進化理論の構造 —— 以上をもって第9章「断続平衡説および大進化理論の正当性」最後の補遺(pp. 1041-1413)を読み終えた.400ページもある本書最長の巨大な章だったが,断続平衡説の論文一式を事前に読んでおけば,それほど峻険な登攀路ではないと思うが,何も知らなければ何もわからないかも……. posted at 14:28:20
  • #進化理論の構造 オーバーハングの手前でひと休み。 pic.twitter.com/kqKmaFOFQj posted at 14:43:45