『なぜ貝の化石が山頂に?:地球に歴史を与えた男ニコラウス・ステノ』

アラン・カトラー

(2005年8月9日刊行,清流出版,ISBN:4860291166



ステノのデンマーク名は「ニルス・ステンセン」というそうだ.一気に北欧チックな名前.若い頃は相当に知的放浪的な学び方をしたらしい.故国デンマークで有能な解剖学者として売り出しつつあったステノは,戦火を逃れ,オランダ,フランス,そして最後にイタリアにたどりついたという.1638年生まれのステノがイタリアにやってきたとき,チェシやガリレオが活躍した Accademia dei Lincei はすでになく,実験科学を重視する Accademia del Cimento がステノに活動の場を与えたそうな.ステノ自身の解剖学から地質学への転向もさることながら,17世紀の自然科学の動向が垣間見えて興味深い.

先行する Accademia dei Lincei については,大部の伝記:David Freedberg『The Eye of the Lynx: Galileo, His Friends, and the Beginnings of Modern Natural History』(2002年刊行,The University of Chicago Press,ISBN:0226261476 [hardcover] / ISBN:0226261484目次)が出ている.ナチュラル・ヒストリーの歴史としても楽しめる本.