[目]『インカの食卓:古代から続く大地の恵み』

高野潤

(2011年9月16日刊行,平凡社,東京,235 pp. + 16 color plates, 本体価格1,800円,ISBN:9784582835458版元ページ著者サイト

南米アンデスに長期滞在してきた著者が,現地の食文化を紹介するとともに自ら実践した記録.聞き慣れない作物や食材がわんさか並ぶが,挿入されているカラー写真が見物だ.何十種類もの原生種ジャガイモ(「papa nativa」)のおそるべき多様性(形状・色彩・味など)には刮目するしかない(味覚の形容がやや単調なのが難だが).本書につられて,「papa nativa」で画像検索すると,まさに「南米原産ジャガイモ祭り」だ.また,トウガラシを用いたさまざまなソースには条件反射で垂涎するのみ.オアハカで食べたモーレ・ネグロのようなアンデス料理もある.モルモットが重要な食材になるとは知らなかった.

本書に掲載されているものを含むもっとたくさんの現地料理のカラー写真は,著者・高野潤さんのサイト〈Andes Amazonia〉で公開されている.なお,この著者は十年前に:高野潤『アンデス 食の旅:高度差5000mの恵みを味わう』(2000年11月刊行,平凡社平凡社新書064],ISBN:9784582850642版元ページ)という本を書いている.買い忘れたままだが,内容的に関連しているのでそのうち手にしたい.

【目次】
はじめに 7
第1章:アンデスで体験した食生活 11
第2章:高地の霧の谷間,海岸の砂漠へ 47
第3章:インカ時代の食生活 95
第4章:遺跡から知る食の世界 127
第5章:古典種系作物の探索 161
第6章:現地料理の美味を求めて 193
あとがき 229