『文化系統学への招待:文化の進化パターンを探る』確定目次

中尾央・三中信宏(編著)

(2012年春刊行予定,勁草書房,東京)

【目次[22 November 2011 version]】

はじめに(中尾央)

第1章:文化の過去を復元すること:文化進化のパターンとプロセス(中尾央)

  生物・文化・進化
  進化のパターンとプロセス
  文化進化を研究すること
  文化進化のパターンとプロセス
  文化の過去と系統学/系統樹思考:本書の構成
  文化の過去を復元すること
  脚註

第2章:『百鬼夜行絵巻』写本の系統(山田奨治

  『百鬼夜行絵巻』をめぐる謎
  絵巻の系統推定モデル
  対象にした『百鬼夜行絵巻』
  真珠庵本系統の復元
  (真珠庵本+日文研本)系統の復元
  『百鬼夜行絵巻』からみる文化の系統
  文化進化学と文化学の接点
  謝辞
  図版出典
  脚註

第3章:『老葉』に対する系統学的アプローチ:宗祇による連歌の系譜(矢野環)

  導入
  文献学と系統学の関係とその歴史
  日本の近代文献学、数理文献学
  『土左日記』
  『君台観左右帳記』
  『池坊専応口伝』
  『利休百会記』
  『内裏名所百首』
  宗祇の『老葉』
  写本の系統学
  脚註

第4章:系統比較法による仮説検定:社会・政治進化のパターンとプロセス(Thomas E. Currie/中尾央訳)

  導入
  文化間比較のための系統樹
  PCMとはどのようなものか
  複雑な政治組織の進化
  オーストロネシア語社会
  進化の系列
  祖先状態
  共進化と変化率
  文化系統学:今後の展望
  脚註

第5章:19世紀擬洋風建築と G. クブラーの系統年代について(中谷礼仁

  はじめに
  系統年代“Systematic Age”という指標− G. クブラー『時のかたち』をめぐって
  「擬」の本質
  擬洋風のプライム・オブジェクトとシークエンス
  擬洋風建築のシークエンスにおける二次媒体の役割
  唐破風,ベランダはどこから来たか?−擬洋風建築を構成する各系統年代
  塔はどこから来たか?
  多角形表現はどこから来たか?
  擬洋風における多角形塔屋の意味−中込学校を事例として
  『時のかたち』に掲載された唯一の図版についての見解
  脚註

第6章:文化の継承メカニズム:学ぶことと教えること(板倉昭二・中尾央)

  導入:比較認知発達科学の視点
  学ぶこと/学習:さまざまな模倣
  意図への敏感さ:ロボットからの学習?
  動物における模倣
  誰から学ぶのか
  学ぶことの比較認知発達
  教えること/教育と文化の継承
  教えることの発達:心の理論との関係
  動物社会における教育:教えることの進化
  ナチュラル・ペダゴジーとはなにか
  ナチュラル・ペダゴジーの留意点
  教えること/教育と文化系統
  脚註

第7章:イメージの系統樹:アビ・ヴァールブルクのイコノロジー田中純

  はじめに──美術誌からイメージの系譜学へ
  ヴァールブルク研究のアクチュアリティ
  「情念定型」とニンフ研究
  図像アトラス「ムネモシュネ」
  「ムネモシュネ」パネルAの関係ネットワーク
  言葉・イメージ・情念
  象徴的イメージをめぐる歴史心理学として
  イメージの狩りにおけるアブダクション
  接ぎ木された系統樹
  脚註

第8章:文化系統学と系統樹思考:存在から生成を導くために(三中信宏

  はじめに:存在の様相としてのパターン,生成の過程としてのプロセス
  進化オブジェクトの制約を越えて
  収斂するパターン分析の方法論(1):生物体系学
  収斂するパターン分析の方法論(2):写本系譜学
  存在パターンと生成プロセスとの関係の公理化
  生物体系学と写本系譜学における公理化の例
  分岐図と系統樹:数学としてのパターン分析
  おわりに:オブジェクトに依存しないパターンとプロセスの解析
  脚註
  [BOX]パターン構造の代数的体系

おわりに:系統樹思考の裾野の広がり(三中信宏

  どんなデータを用いて系統推定するか
  ツリーか,ネットワークか
  系統推定の方法論をどうするか
  複数の系統樹を束ねるには
  系統樹を踏まえてさらなる考察を進める
  脚註


 索引
 チャート(三中信宏・作成/宗像宏・デザイン)