『紅茶の文化史』

春山行夫

(2013年2月8日刊行,平凡社平凡社ライブラリー・782],東京,421 pp., ISBN:9784582767827版元ページ

薀蓄傾けまくりでとても好ましい. “チップ(tip)” とは “to insure promptness” の略だそうだ(p. 73).また,東洋の茶を西洋に初めて伝えたのはオランダだったが,茶の効用を称賛した医者ニコラス・テュルプ(p. 40)は,後年レンブラントの作品〈テュルプ博士の解剖学講義〉に描かれた人物でもある.イギリスでの飲み物「punch(パンチ)」がオランダ語では「pons(ポンス)」となり,さらに日本では調味料の「ポン酢」になった(pp. 216-2177).なおフルーツ「パンチ」をフルーツ「ポンチ」にしたのは銀座千疋屋.また,「アイスティー」が初登場したのは1904年のセントルイス万博だったが,この万博では「ハンバーガー」と「アイスクリーム・コーン」も初めて世に現れたとのこと(pp. 209-212).情報量とても多し.