『ムカシのミライ:プロセス考古学とポストプロセス考古学の対話』のある書評

阿子島香・溝口孝司(監修)

(2018年10月20日刊行,勁草書房,東京, vi+248 pp., 本体価格3,000円, ISBN:9784326248490目次版元ページ

第2考古学「阿子島・溝口2018『ムカシのミライ』 [全方位書評]」(2018年11月10日)※この書評記事では「「日本考古学」の忌避」が問題点の筆頭として挙げられている:

「より問題なのは、第1点の「日本考古学」の忌避である。
なぜなら、このコンテクスト(脈絡)で、このシチュエーション(状況)で、このメンツ(面子)で対談して、「日本考古学」という表現を避けて、まともな議論ができるはずがないからである。」

しかし,あの対談と本では「日本考古学の抱える問題点」は最初から “通奏低音” として響いていた.「日本考古学の抱える問題点」を当然の前提としてあの論文集は成立したと,寄稿者の一人であるワタクシは考えている.プロセス考古学とかポストプロセス考古学に対していま新たに「光」を当てる意義は,これまでの日本考古学の「影」をよりくっきり際立たせるためにほかならないでしょう.

この書評者は:

「どうも本イベントは、初発の問題構成に若干の、いやかなり本質的な問題が含まれていたようである。」

と指摘するが,ワタクシ個人としては,「総論忌避・各論執着」および「理論沈黙・個物偏愛」という日本のサイエンスの一般的特徴が「日本考古学」にもまったく支障なく当てはまることをあの対談で再確認できてとても心安らかになれた.