『犬に話しかけてはいけない:内陸アラスカのマルチスピーシーズ民族誌』目次

近藤祉秋
(2022年10月20日刊行,慶應義塾大学出版会,東京, 232 pp., 本体価格2,400円, ISBN:978-4-7664-2845-2版元ページ


【目次】
はじめに――ある日の野帳から 3

第1章 マルチスピーシーズ民族誌へようこそ 17

 現代人類学への道 17
 マルチスピーシーズ民族誌の誕生 21
 人新世と環境人文学――マルチスピーシーズ民族誌との関連から 24

第2章 ニコライ村への道のり 29

 ニコライ村 31
 フィールドワークの始まり 34
 本書のおもな登場人物 40
 個人主義的な人々? 43
 徒弟的なフィールドワーク 46
 フィールドワークの身体性 55

3章 ワタリガラスのいかもの食い──ある神話モチーフを考える 59

 トリックスターとしてのワタリガラス 59
 神話は子育てによく効く? 61
 犬の屠畜とワタリガラス神話 63
 犬屠畜モチーフが他地域からもたらされた可能性はあるか? 66
 〈ワタリガラス〉の犬肉食は、動物行動学で説明できるか? 70
 〈ワタリガラス〉の犬肉嗜好モチーフは修辞戦略としてみなしうるか? 73
 多種の因縁を語る神話 79

第4章 犬に話しかけてはいけない──禁忌から考える人間と動物の距離 81

 ある禁忌の語りから 81
 運搬・護衛・狩猟 83
 犬ぞりの受容と二〇世紀初頭の変化 88
 犬ぞりの現在 93
 犬―人間のハビトゥス 98

第5章 ビーバーとともに川をつくる──「多種を真剣に受け取ること」を目指して 103

 ビーバー論争 103
 生態学・生物学と対話するマルチスピーシーズ民族誌 105
 ビーバーとディチナニクの人々の関わり 108
 ビーバーダムとギンザケ 113
 ビーバー擁護派と反対派の二項対立を超えて 120
 キーストーン種とともに考える 122
 マルチスピーシーズ民族誌が目指すこと 125

第6章 「残り鳥」とともに生きる──ドムス・シェアリングとドメスティケーション 131

 ドメスティケーションの周辺から考える 131
 野鳥の餌づけ・保護・飼育 134
 「残り鳥」と住まう 138
 野鳥とのドムス・シェアリング 144
 ドムス・シェアリングとドメスティケーション 148

第7章 カリブーの毛には青い炎がある──デネの共異身体をめぐって 153

 北方アサバスカンの身体 153
 共異体と社会身体 155
 サイボーグ・インディアン 157
 カリブーの民とオーロラ 160
 巨大動物と超自我 164
 ぬくもりの共異身体 167

第8章 コウモリの身内──環境文学と人類学から「交感」を考える 169

 悪魔からロールモデルへ 169
 目的としての「交感」と実用的な「交感」 171
 生きものとの会話と非会話 177
 「交感しすぎない」という知恵 180

おわりに――内陸アラスカ先住民の知恵とは何か? 185

 マルチスピーシーズ民族誌の射程 185
 各章の概要 188
 アラスカ先住民の知恵 192
 第三の道を探る 196

 

あとがき 199
注 205
初出一覧 [219]
図版一覧 [220]
動物の名称一覧 [221]
参考文献一覧 [230-222]
索引 [232-231]