『京都の食文化:歴史と風土がはぐくんだ「美味しい街」』第2章(続)読了

佐藤洋一郎
(2022年10月25日刊行,中央公論新社中公新書・2721],東京, 4 color plates + 246 pp., 本体価格880円, ISBN:978-4-12-102721-4目次版元ページ

パン食文化について興味深い点が指摘されていた:「パン食と珈琲の街、京都」(pp. 101 ff.).まず,「巷に流布する『京都は日本一パンを食べる街』という言説はどうも真実ではない」(p. 102).とくに,近年の “高級食パン” ブームは京都では根付かなかったと著者は指摘する.

 

「最近の食パンブームの火つけ役となった食パン専門店のパンは,甘くてしっとりした食感を持ち,耳まで柔らかな物が多い.こうした食パンは自己主張が強すぎてサンドイッチには合わないと,イノダコーヒの国本信夫・業務支援部次長は語る」(p. 104).

 

「どんなにおいしいものも,目新しいものもやがて飽きが来る.一時はブームになったところで長続きはしない.長続きのためには『おいしすぎない』『目立たない』ことが重要なのだ.と一九四七年創業の『山一パン総本店』の山本隆英社長は言っている.京都人は新物好きであると同時に,反面きわめて保守的でもあるのだ」(p. 105).

 

—— ホンマ,ややこしい性格やなあ.