金子之史
(2007年12月15日刊行,東京大学出版会[ナチュラル・ヒストリー・シリーズ], ISBN:4130601881)
信州で格闘している間につくばに届いていた新刊.著者の個人史でもある第1章「ネズミ研究への出発」がなかなか魅力的.第5章「生物地理学からの視点」は,日本における生物地理学史を振り返っている.他の章は鼠につぐ鼠また鼠.今の時代に分類学者として生きるということはどういうことなのだろうか.※またも「徳田御稔」の名が…….
【目次】
はじめに i第1章 ネズミ研究への出発 1
1.1 野ネズミ研究との出会い 1
1.2 『日本生物地理』(徳田御稔, 1941) 2
1.3 自然の理解 —— 学問は「原理原則」だけか 7
1.4 今西錦司と可児藤吉 —— 『生物社会の論理』 vs 『渓流棲昆虫の生態』 11
1.5 分類学における具体と抽象 14
1.6 枚挙の精神と生物学の発展 18
1.7 ライフワークとしての研究 22第2章 分類と分布 26
2.1 東アジアのネズミ類 26
2.2 カードとノート方式 —— 私の研究法 33
2.3 日本をとりまくアジアの地形 44
2.4 ネズミ類とはどんな動物か 54第3章 日本のネズミ類 I ――分類 68
3.1 ミズハタネズミ亜科 68
3.2 ネズミ亜科 83第4章 日本のネズミ類 II ――分布 100
4.1 分布研究のスタート —— 棲息場所の分類 100
4.2 四国にハタネズミはいるか —— 地理的分布と生態的分布の接点 109
4.3 種間競争の問題 114
4.4 地形的分布 117
4.5 日本産ネズミ類の生物地理 121
4.6 分布研究の課題 128第5章 生物地理学からの視点 144
5.1 歴史的にみること —— 生物地理学の衰退と再生 144
5.2 関係的な総合化をさぐる —— 地理学から学ぶ 151
5.3 自然認識と縮尺論 156
5.4 地図と研究の多様性 160第6章 東アジアのネズミ類 167
6.1 東アジア産ハタネズミ属 167
6.2 東アジア産ヤチネズミ属とビロードネズミ属 179
6.3 東アジア産アカネズミ属 190第7章 ヨーロッパのネズミ類 200
7.1 ヨーロッパ産ハツカネズミ属 200
7.2 ヨーロッパ産アカネズミ属 224第8章 ネズミ研究への提言 241
8.1 将来のネズミ研究へ 241
8.2 再現性の保証としての標本管理 252
引用文献 259
おわりに 295
事項索引 299
生物名索引 301
[コラム]
1枚の写真から 4
ネズミ研究への道――その1 41
ネズミ研究への道――その2 81
江戸時代のねずみ学 97
ネズミの研究法 105
ネズミ採集のイメージ 150
ヒントンとピルドダウン人 183
『珍翫鼠育●[ちんがんそだてぐさ]』 220
文化のちがいとネズミの見方 250