『進化論はなぜ哲学の問題になるのか:生物学の哲学の現在』第二刷増刷

松本俊吉(編著)

(2010年7月20日第一刷刊行/2010年10月15日第二刷刊行,勁草書房,東京,viii+238 pp.,本体価格3,200円,ISBN:9784326101986第一刷目次版元ページ

今回の増刷にあたっては「事項索引」(pp. 234-236)が新しく付けられたので,本全体のページ数が変わっている.その他,第一刷で発見されたミスは修整されている.

【目次】
まえがき(松本俊吉) i


第1章:自然選択の単位の問題(松本俊吉) 1

 1.1 選択の単位の問題小史 1
 1.2 対立遺伝子選択主義をめぐる問題 4
 1.3 集団選択説をめぐる問題 14

第2章:生物学的階層における因果決定論と進化(中嶋敏幸) 27

 2.1 はじめに 27
 2.2 システムと階層 28
 2.3 生物学的実体による通時的な階層形成 32
 2.4 自然選択と進化個体群 36
 2.5 階層間の因果決定性 39
 2.6 階層と選択のレベル 45
 2.7 おわりに 50

第3章:生物学における目的と機能(大塚淳) 53

 3.1 目的論とは:今日における問題 53
 3.2 目的指向性と因果的説明 54
 3.3 進化生物学における機能言明 60
 3.4 発見法としての目的論 65
 3.5 「型の一致」と適応主義批判 68
 3.6 結語 72

第4章:進化論における確率概念(森元良太) 75

 4.1 なぜ確率概念が問題になるのか 75
 4.2 決定論的世界観 78
 4.3 非決定論的世界観 81
 4.4 不可知論と一般化 85

第5章:理論間還元と機能主義(太田紘史) 95

 5.1 理論間還元モデル 95
 5.2 多重実現可能性と機能主義 100
 5.3 論争と展開(1)多重実現再考 106
 5.4 論争と展開(2)機能主義再考 109

第6章:種問題(網谷祐一) 121

 6.1 はじめに 121
 6.2 生物学的種概念 124
 6.3 系統学的種概念 127
 6.4 多元主義 130
 6.5 種の存在論的地位:種は個物か 131
 6.6 おわりに:「種」の認識論的意義 135

第7章:系譜学的思考の起源と展開:系統樹図像学形而上学三中信宏) 141

 7.1 はじめに:分類科学と古因科学 141
 7.2 分類思考:形而上学的パターン認知 144
 7.3 系統樹思考:アブダクションよる推論 152
 7.4 ふたつの思考法:メタファーとメトニミーのはざまで 155
 7.5 おわりに:系統樹図像学形而上学 158

第8章:人間行動の進化的研究:その構造と方法論(中尾央) 163

 8.1 起源:人間社会生物学 164
 8.2 代案(1):遺伝子と文化の二重継承説 168
 8.3 代案(2):進化心理学 173
 8.4 継承:人間行動生態学 177
 8.5 結語 180

第9章:進化倫理学の課題と方法(田中泉吏) 185

 9.1 はじめに 185
 9.2 進化心理学とは何か 186
 9.3 倫理の進化を探るために 188
 9.4 「遺伝子の倫理」は可能か 196
 9.5 倫理は主観的か,客観的か 200
 9.6 おわりに 203


用語解説 207
人名索引 231
事項索引 234
執筆者紹介 238