『新・耳・袋:あなたの隣の怖い話』

木原浩勝・中山市朗

(1990年9月5日刊行,扶桑社,東京,334 pp., ISBN:4-594-00629-9

新しい本棚が自宅に搬入されたので,何年も積み上がったままの本の山をちょっとだけ整理していたら,奥の方からこの本が切り裂かれた表紙にくるまれて転がり出てきた.もともとは真っ白な新刊だったのだが,何度か読んでいるうちにいやな汚れ方が目立つので,そのつど本の山の向こうに放り投げるのだが,いつの間にかまた目につくところに “いる” .メディアファクトリーから復刻された(毒抜きされた)版とは別次元の原本.怖い系の本は嫌いではないんだけど,扶桑社版の『新耳袋』はあまり気軽に読んではいけないね.今も横に “いる” けど,ページを開くかどうか逡巡ちう.やめといた方が身のためか.松谷みよ子(編)『現代民話考(全12巻)』(1985年〜1996年刊行,立風書房|2003年〜2004年ちくま文庫から復刊)を読むと,『新耳袋』の祖型のような怪談話が見つかる.現代民話や都市伝説にも系譜があるのだろう.小松左京の短編「くだんのはは」に出てくる〈件〉みたいな地域限定ローカルな怪談話・都市伝説は背景はおもしろいかも(怖いけど).