『専門知を再考する』感想

H・コリンズ,R・エヴァンズ[奥田太郎監訳|和田慈・清水右郷訳]
(2020年4月25日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, viii+179+30 pp., 本体価格4,500円, ISBN:978-4-8158-0986-7目次版元ページ

読了.最後まで手強かったなこれは.従来的な「貢献型専門知」に対する新手の「対話型専門知」の関わりがクローズアップされている.とくに,これまできちんと論議されてこなかった「対話型専門知」をどのようにとらえるかについて,実験研究をも実施して解明しようとしているところが目を惹く.ワタクシ的には,ふたつの専門知の相互関係を描いた図4(p. 87)を見ながら,生物体系学と生物学哲学の関わりを思い浮かべていた.表1「専門知の周期表」(p. 17)が本書全体の “大黒柱” に相当するが,専門領域の「内と外」をどのようにイメージ化するかによって,本書の主張をどこまで広げられるかが変わってくるだろう.ワタクシ的には科学と哲学との関係にしぼりこんでとらえるかぎり比較的わかりやすい議論だった.