『先生とわたし』

四方田犬彦

(2007年6月20日刊行,新潮社,238 pp.,ISBN:9784103671060版元ページ

時代的にいえば,著者の高校時代から予備校時代を描いた:四方田犬彦ハイスクール1968』(2004年2月25日刊行,新潮社,255 pp.,ISBN:4103671041目次版元ページ新潮文庫])のあとを受けて,入学した東大の「駒場」時代のことが綴られている.本書は,最近出た:四方田犬彦歳月の鉛』(2009年5月20日刊行,工作舎,東京,342 pp.,本体価格2,400円,ISBN:9784875024194目次版元ページ)と時期的に重なっているが,『先生とわたし』の中心テーマは著者にとっての師・由良君美との長く深いつきあいについてだ.ブラウズして感じで,ほとんど「伝記」のような内容になっているみたい.ついでに1970年代の「駒場」の背景ディテールが書き込まれているので,個人的には懐かしい.それにしても,何だかとっても繊細そうな師匠と深読みしまくる弟子との間でウラの探り合いをしているふう(とっても疲れそう).「黒い心」が随所で満開だ.楽しいな.

【目次】
プロローグ 5
第1章 メフィストフェレス 11
第2章 ファウスト 43
第3章 出自と残滓 93
第4章 ヨブ 135
間奏曲 183
第5章 ウェルギリウス 207
エピローグ 235