『ダーウィンの珊瑚:進化論のダイアグラムと博物学』

ホルスト・ブレーデカンプ[濱中春訳]

(2010年12月10日刊行,法政大学出版局[叢書ウニベルシタス949],東京,16 color plates + iv+185 pp., 本体価格2,900円,ISBN:9784588009495目次版元ページ大学出版部協会ページ

年の瀬のサプライズ.日本語訳が出るとはまったく予想していなかった.ダーウィンの「系統樹」に対する姿勢について図像学的に解析した本.「系統樹」の観念史についてさまざまな洞察を得ることができる.原書は:Horst Bredekamp『Darwins Korallen : Die frühen Evolutionsdiagramme und die Tradition der Naturgeschichte』(2005年刊行, Verlag Klaus Wagenbach[Kleine Kulturwissenschaftliche Bibliothek 73], Berlin, ISBN:3803151732目次版元ページ).ドイツ語原書は細かい活字でびっしり組まれていたが,この訳本の方が目にずっと優しい.どうもありがとう.

次は Julia Voss の著作か?!:Julia Voss『Darwins Bilder : Ansichten der Evolutionstheorie 1837 bis 1874』(2007年6月刊行, Fischer Taschenbuch Verlag, Frankfurt am Main, ISBN:9783596176274 [pbk] → 目次版元ページ).さらに言うなら,超弩級の C・G・ユング『赤の書』が翻訳出版されるご時世なんだから,同様の兇器度をもつ:Olaf Breidbach『Ernst Haeckel : Bildwelten der Natur』(2006年8月刊行,Prestel,ISBN:3791336630版元ページ)が訳されたとしてもけっしてフシギではない.