『野生動物医学への挑戦:寄生虫・感染症・ワンヘルス』目次

浅川満彦
(2021年6月10日刊行,東京大学出版会,東京, viii+196 pp., 本体価格2,900円, ISBN:978-4-13-062229-5版元ページ

カバーイラストの “ヒゲの先生” からは実物のワイルドさは想像できないにちがいない(ほめてます).

もう十年余り前になるが,アルヘンティーナへの国外逃亡(Hennig Society Meeting)の途中,アトランタ国際空港でトランジットしたとき,ペルーのリマでのフィールド調査から帰る途中の著者と偶然にも接近遭遇したことがある.当時の日録をひもとくと,こう書かれている:

「向こうのベンチで熊みたいなひげ面のおじさんが,お行儀悪く寝そべっている.南米の空港ではよく見る光景だが,Estados Unidos のこの Aeropuerto ではあまり見ない(日本人客が多いし).さらによく見れば,その御仁はなんと酪農学園大学の浅川満彦さんじゃないですか.実に奇遇ですな.機内に搭乗してから訊いたところでは,ペルーのリマまでサンプリングに行ってきたとのこと.お疲れさまでした.風体に関してはあまり他人のことはどうこう言えないが,ほとんど引き分けの“互角”だったと思う.類は友を呼ぶ」(2008年11月2日).


【目次】
はじめに i

第1章 寄生虫はどこからきたか 1

1.1 寄生虫学事始め 1
1.2 研究の方向性を決める 11
1.3 宿主-寄生体関係の生物地理 14

第2章 野生動物医学を教える 35

2.1 獣医学領域の野生動物 35
2.2 野生動物医学とは 40
2.3 より高みを目指す野生動物医学のために 50

第3章 野生動物に感染する 65

3.1 病原体と感染症 65
3.2 ウイルスによる疾病 69
3.3 細菌・真菌による疾病 75
3.4 野生動物の死因はなにか 82

第4章 鳥類と寄生虫 88

4.1 鳥独特の寄生虫病 88
4.2 原虫・蠕虫による疾病 99
4.3 節足動物による疾病 122

第5章 野生動物と病原体の曼荼羅 129

5.1 外来種介在によるいびつな関係 129
5.2 多様化する衛生動物 136
5.3 感染症研究の縦割りは世界を滅ぼす 139

第6章 次世代へいかにバトンを渡すか 147

6.1 まず,働かないと…… 147
6.2 研究と啓発の両輪で 156
6.3 今後に望むこと 159


おわりに 165
さらに学びたい人へ 169
参考文献 173
事項索引 187
生物名索引 192