『進化理論の構造 I・II』登攀記録(第5章)

ティーヴン・ジェイ・グールド[渡辺政隆訳]
(2021年11月20日刊行,工作舎,東京, 808 + 1,120 pp., 本体価格9,000円 [I]/11,000円 [II],ISBN:978-4-87502-534-4 [I] | ISBN:978-4-87502-535-1 [II] → 目次 [I]目次 [II]版元ページ [I]版元ページ [II]

第5章の登攀記録:2022年1月12日(水) ——

  • #進化理論の構造 第5章「ゴールトンの多面体の実り多き切子面——ダーウィン以後のフォルマリズムにおける経路と跳躍進化」の第1節「ゴールトンの多面体」(pp. 485-498)読了.自然淘汰の創造性に対するアンチテーゼとしての変異の跳躍性と方向性を「ゴールトンの多面体」なるメタファーを用いて説明. posted at 13:44:08
  • #進化理論の構造 第5章第2節「経路と一方通行としての定向進化説——ダーウィニズムの過小評価」(pp. 499-554)読了.19〜20世紀のさまざまな「定向進化説」— 内的要因による変異の偏りと経路付け —を取り上げる.登場するのは,T・アイマー,A・ハイアット,C・O・ホイットマンら. posted at 15:15:42
  • #進化理論の構造 グールドが定向進化説を取り上げる意図はとても明快だ:「不当にけなされている定向進化説の中の一部の考え方に近い,拘束を云々する穏やかなフォルマリズムが,現在のダーウィニズム主流の状況をより実りあるものにするかもしれない」(p. 503) posted at 15:21:37
  • #進化理論の構造 さらにもう一文:「今のわれわれは,さらなる統合を目指している.現代総合説と,発生の拘束と経路付けられた変異という,無視されてしまった構造論とフォルマリズムのテーマとの統合を」(p. 554). posted at 15:24:34
  • #進化理論の構造 第5章第3節「内的推進力説としての跳躍説——ダーウィニズムを周辺的原因へと追いやるためのフォルマリズム第二の戦略」(pp. 555-646)読了.跳躍進化説諸相.キャスティングは遺伝学者たちウィリアム・ベイトソン,ヒューゴ・ド・フリース,そしてリチャード・ゴールドシュミット. posted at 21:40:34
  • #進化理論の構造 遺伝学者ベイトソンは不連続変異の事例を踏まえ,ダーウィンの言うような漸進的な自然淘汰では説明できない現象があると主張した(p. 568).自然淘汰の創造性に疑問を投げかけるベイトソンは,実験観察に基づかない自然史学には将来性はないと断じる(p. 568). posted at 21:46:09
  • #進化理論の構造ナチュラリストとして出発してコレクターとして終わる.難題は放り出し,分類学という実務に慰めを見出す.種を分けていられれば幸せなのだ」(p. 572)—— これはベイトソンの主著『変異の研究のための素材』(1894)の一節だ.当時の遺伝学と自然史学との “裂け目” が垣間見える. posted at 21:50:12
  • #進化理論の構造 続くド・フリースは跳躍的な「突然変異説」の主唱者としてあまりにも有名で,50ページほど割いて詳述されているが,何が何だかよくわからない混沌とした彼の思想が述べられている.でも,よくわかんないです. posted at 21:54:10
  • #進化理論の構造 最後のゴールドシュミットは,同時代の総合学説信奉者から “タコ殴り” された遺伝学者として,かえってわかりやすい役回りかもしれない.グールドはゴールドシュミットの主張(たとえば『進化の物質的基盤』1940)の中にも,進化機構の内在論の体系化は評価すべきであると指摘する. posted at 21:57:59
  • #進化理論の構造 続く第6章「地質学の舞台におけるパターンと前進」(pp. 647-696)は明日の┣┣" 撃ち予定ね. posted at 21:59:23