『進化理論の構造 I・II』登攀記録(第8章)

ティーヴン・ジェイ・グールド[渡辺政隆訳]
(2021年11月20日刊行,工作舎,東京, 808 + 1,120 pp., 本体価格9,000円 [I]/11,000円 [II],ISBN:978-4-87502-534-4 [I] | ISBN:978-4-87502-535-1 [II] → 目次 [I]目次 [II]版元ページ [I]版元ページ [II]

第8章の登攀記録:2022年1月15日(土)〜18日(火) ——

  • #進化理論の構造 第8章「淘汰の階層理論における個体としての種」の第2節「淘汰の因力の進化的定義と利己的遺伝子の欺瞞」(pp. 867-910)読了.G. C. Williams(1966)や R. Dawkins(1976)の「遺伝子淘汰説」は根本的な誤謬であるという主張が展開される. posted at 22:42:15
  • #進化理論の構造 遺伝子はたとえ進化の結果の記録——「簿記(bookkeeping)」——の単位とはなりえても,進化の「因果(causation)」の単位とはなりえないというグールドの考えが繰り返される.ワタクシは,簿記と因果の区別は Ellioss Sober 1984. The Nature of Selection. MIT Pr で初めて知った. posted at 22:45:57
  • #進化理論の構造 グールドは自然淘汰の単位についてこう言う:「淘汰の単位は「自己複製子」としてではなく「相互作用子」として定義されねばならないということを認識しなければ,淘汰の因果的な性質は理解できないという結論である」(p. 880-881).この主張に沿ってグールドは反論を展開する. posted at 22:49:22
  • #進化理論の構造 「自己複製子(replicator)」と「相互作用子(interactor)」は David Hull の造語なので,このあたりの論議は1970〜80年代の生物学哲学での議論を背景知識として知っておくと遭難せずにすむ.グールドが “群淘汰” を複数レベル淘汰論としてリバイバルさせようとする意図もわかる. posted at 22:54:01
  • #進化理論の構造 ワタクシ的に興味深いのは,G. C. Williams の遺伝子淘汰説(1966)や R. Dawkins の利己的遺伝子説(1976)がどのように “変節(=退却戦)” していったかをグールドが執拗にたどっている点だ. posted at 22:57:32
  • #進化理論の構造 とりわけ,G. C. Williams 1966. Adaptation and Natural Selection の遺伝子淘汰説から G. C. Williams 1992. Natural Selection: Domains, Levels and Challenges の複数レベル淘汰説にいたる “変節” ぶりは特筆すべきだとグールドは言う. posted at 23:02:31
  • #進化理論の構造 1988年のある逸話がある:「階層的な見解の支持者であるマージョリー・グリーンがウィリアムズを見据え,「あなたずいぶん変わったわね」と,ぴしりと言い放った.それに対して,穏やかで口数の少ないことで知られるジョージ・ウィリアムズが答えた「ずいぶん前にね」」(p. 910). posted at 23:07:26
  • #進化理論の構造 本書『進化理論の構造』の魅力は,随所にグールド自身が体験したことがらが埋め込まれている点だ.それの意味するところを理解できるかどうかは読者側の “背景知識” の有無にかかっている.とくに下巻に進むと,読者に対して要求される知識が多くなってきたようにワタクシは感じる. posted at 23:10:17
  • #進化理論の構造 たとえば,進化の階層性の理論化に関する長大な脚註069(p. 907)で,ナイルズ・エルドリッジの提唱する「系統的階層」と「経済的階層」は不要であり非生産的だとグールドはみなす. posted at 23:15:06
  • #進化理論の構造 そのうえで,グールドはこうもらす:「もう25年もいっしょに大進化の問題に取り組んできて,私ともっとも近しい同僚であるナイルズ・エルドリッジとの,唯一の大きな相違点である」(p. 907). posted at 23:17:35
  • #進化理論の構造 しかし,エルドリッジは筋金入りのクラディストであり,他方のグールドはアンチ・クラディストだったことを考えれば,その意見の相違は当然だとワタクシは考える.1960〜80年代の体系学論争については本書ではほとんど触れられていないが,その背景知識は至るところで関わってくる. posted at 23:20:09
  • #進化理論の構造 第8章「淘汰の階層理論における個体としての種」の第3節「階層論的淘汰説の論理的、経験的な基盤」(pp. 911-1002)読了.遺伝子淘汰からクレード淘汰にいたる階層的な自然淘汰理論について延々と述べる.木村資生の中立説と大野乾の遺伝子重複説にも言及する.長い,長過ぎる. posted at 15:21:35
  • @qyv00045 #進化理論の構造 この本は “戦記物語” なので,いつ誰がどんな文脈でどう振る舞ったのかを知る上での貴重な資料ですね.どちらが正しかったかどうかはワタクシ的にはどうでもいいことです.グールドはマイヤーの “the naturalist tradition” の継承者だったことは確かでした. posted at 07:16:13
  • #進化理論の構造 第8章「淘汰の階層理論における個体としての種」の最後の第4節「壮大なアナロジー——進化に関する種分化の基盤」(pp. 1003-1040)読了.個体淘汰と種淘汰の類否がさらに延々と続く.1970年代の断続平衡モデルを踏まえた発展型として.一覧表8-1(pp. 1008-1009)を見ればよいのかな. posted at 10:33:29