林岳彦
(2024年2月28日刊行、岩波書店、東京, xiv+267 pp., 本体価格2,900円, ISBN:978-4-00-005842-1 → 版元ページ)
最近、外堀を “因果推論本” たちで埋められつつある気がして寝ていてもうなされる。 “統計陰陽師” が昼に夜に “呪い” をかけているにちがいない。勉強します、ハイ。
【目次】
はじめに v
第 I 部 因果推論の基本的な考え方
1 因果と相関と「特性の分布の(アン)バランス」 3
1.1 まず、「対象のありよう」を丁寧に考えよう 31.2 相関と因果と、特性の分布のバランス 5
1.3 基本的なゴールとしての「特性の分布のバランシング」 11
1.4 そもそも何が揃うと「因果関係」といえるのか? 16
1.5 手始めの一歩――層別化による因果効果の推定 23
1.6 この章のまとめ 26
2 どの特性を揃えるべきなのか――因果ダイアグラムとバックドア基準 29
2.1 相関と因果の違い 292.2 いざ、バックドア基準へ 33
2.3 まとめとしてのバックドア基準――とどのつまり、どの変数をバランシングするべきなのか 69
2.4 いくつかの例題でのおさらい――習うより慣れよう 73
2.5 バックドア基準を踏まえて、「目指すべきゴール」をアップデート 80
2.6 この章のまとめ 81
3 因果推論、その(不)可能性の中心――潜在結果モデルと無作為化 87
3.1 潜在結果モデルへの入り口――個体レベルでの因果効果から考える 873.2 潜在結果モデル――「もしも」の世界も考える 93
3.3 無作為化――コイントスで「不可能」を「可能」に“フリップ”する 105
3.4 因果ダイアグラムから眺める無作為化 110
3.5 この章のまとめ 114
第 II 部 因果効果の推定手法
4 共変量に着目――層別化、マッチング、重回帰分析 123
4.1 層別化と標準化で揃える 1234.2 マッチングで揃える 129
4.3 重回帰分析で揃える 134
4.4 この章のまとめ 140
5 「次元の呪い」の罠の外へ――傾向スコア法 144
5.1 傾向スコア法――“割付けられやすさ”を表す合成変数 1445.2 傾向スコア法を使ってみよう 150
5.3 傾向スコアによるマッチング 153
5.4 マッチングは相手あってこそ 157
5.5 この章のまとめ 159
6 共変量では調整できない、そんなとき――差の差法、回帰不連続デザイン 160
6.1 差分データへの変換によるバランシング――差の差法 1606.2 処置の切替の境界を利用したバランシング 171
6.3 この章のまとめ 175
7 データの背後の構造を利用する――操作変数法、媒介変数法 176
7.1 外的なショックを利用する――操作変数法 1767.2 媒介変数法とフロントドア基準――中間変数を利用する 189
7.3 この章のまとめ 175
第 III 部 「因果効果」が意味することと、しないこと
8 “処置Tの効果”を揺るがすもの 195
8.1 「因果効果を媒介するもの」を考える 1958.2 “因果効果”を揺らす他の要因たち 200
8.3 処置Tのコンテクスト依存性を考える 204
8.4 測定されたその「処置T」は本当に「処置T」か 208
8.5 この章のまとめ 211
9 エビデンスは棍棒ではない――「因果効果」の社会利用に向けて 215
9.1 その因果効果はどこまで一般化できるのか――ターゲット妥当性とバイアスの分解 2159.2 実世界での適切な利用へ向けて――「固有性の世界」と「法則性の世界」の往復 224
9.3 「平均因果効果」が隠してしまうもの 229
9.4 エビデンスは棍棒ではない――結果の社会利用にあたって注意すべきこと 231
9.5 この章のまとめ――RCTは最強ではないし、統計学は最強ではない 240
巻末補遺A1 共変量Cの影響に対する“補正計算”としての重回帰 247
巻末補遺A2 逆確率重み付け法の考え方 251
参考文献 257
あとがき 261
索引 265