『一六世紀文化革命(2)』

山本義隆

(2007年4月16日刊行, みすず書房ISBN:9784622072874版元ページ



目次項目を入力しつつ考える.こういう専門書のたぐいは,その中身を知らないと購入する動機と意欲が高まらない.そのためのもっとも手っ取り早い方法は「詳細目次」を開示することだと個人的には思う.目次を見ればどんな本かはだいたいわかる.逆に,目次情報がない本を買うのは賭けに等しい.この点で小説の類とはちがいがある.

海外の大手出版社だと(とくに大学出版局),確実に詳細目次の情報を含むコンパニオン・サイトが開設されている.一方,日本の出版社の場合は,単に書誌情報が掲載されているだけという場合が多く,簡略目次が公開されていれば御の字だ.

みすず書房の上記新刊も,章のタイトルだけは版元ページに開示されてはいるが,節のタイトルは実物を手にしないかぎり知ることができない.これだけのページ数,この手の科学史的な大著を売ろうという意欲が出版社側にあるのであれば,もっと中身を開示して,商売っ気を出した方がいいように思う.




【目次】

第6章 軍事革命と機械学・力学の勃興 391

 1. タルターリアと弾道学 391
 2. 落体の運動とアリストテレス批判 401
 3. 偽アリストテレスの『機械学の諸問題』 406
 4. 一六世紀機械学のはじまりと斜面の問題 412
 5. グイドバルド・デル・モンテ 418
 6. ラメッリをめぐって 426
 7. シモン・ステヴィンとガリレオ・ガリレイ 433

第7章 天文学・地理学と研究の組織化 448

 1. プトレマイオスの再発見 448
 2. ニュールンベルクのレギオモンタヌス 453
 3. インド航路開発プロジェクト 459
 4. ニュールンベルクの数理技能者たち 467
 5. 南ドイツの数理技能者たち 476
 6. ネーデルラントの数理技能者たち 482
 7. チコ・ブラーエ 490

第8章 一六世紀後半のイングランド 504

 1. チューダー王朝下のイングランド 504
 2. ロバート・レコード 516
 3. ジョン・ディー 521
 4. ディッゲズ父子 528
 5. ウィリアム・ボーン 533
 6. ロバート・ノーマンとウィリアム・ボロウ 538
 7. 上からの技術教育 547

第9章 一六世紀ヨーロッパの言語革命 556

 1. 中世前期の俗語とラテン語 556
 2. ヨーロッパ社会の変化 563
 3. 学問言語としてのラテン語 568
 4. カトリック教会とラテン語 574
 5. 一六世紀の言語革命・国語の形成 583
 6. 印刷書籍が国語の形成に果たした役割 588
 7. 宗教改革と聖書の俗語訳 596
 8. 国民国家と国語の形成(プロテスタント諸国) 600
 9. 国民国家と国語の形成(カトリック諸国) 609
 10. 国語と科学研究 615

第10章 一六世紀文化革命と一七世紀科学革命 621

 1. スコラ学の特異性 621
 2. 古代信仰・文書信仰 626
 3. ルネサンス人文主義 630
 4. 大航海時代の衝撃と古代の権威の失墜 635
 5. 文書偏重から経験重視へ 644
 6. 陶工ベルナール・パリシー 649
 7. 実験と定量的測定 655
 8. 知の公共化と漸次的改善 661
 9. シモン・ステヴィン 668
 10. フランシス・ベーコンと学問のシンポ 673
 11. 手仕事を厭わなくなった知識人 679
 12. 王立協会と科学アカデミー 687
 13. 「限界を超えて」 693
 14. 一七世紀科学革命の真実 699
 15.近代科学の攻撃的性質 707


あとがき 723


注 [77-101]
文献 [27-76]
人名・書名索引 [1-26]