石原あえか・大西成明
(2018年1月31日刊行,青弓社,東京, 163 pp., 本体価格3,600円, ISBN:9784787234308 → 版元ページ)
【目次】
はじめに かつて存在したムラージュ工房の風景 11
第1章 元祖皮膚科コンビ、土肥慶蔵と伊藤有 東京大学医学部皮膚科学教室・本郷 13
1 日本のムラージュ師の祖・伊藤有のムラージュ 14
2 土肥、ウィーンでムラージュに出会う 16
3 土肥と伊藤の同郷コンビ初仕事『日本皮膚病黴毒図譜』原画 20
4 土肥の腕 再発見された胸像 24第2章 私学のムラージュ 慶應義塾大学医学部皮膚科学教室・信濃町 29
1 壁掛けスタイルのムラージュ壮観 30
2 伊藤の最初の弟子・宇野一洋 33
3 伊藤と宇野が育てた東大二代目ムラージュ師・長安周一 36
4 土肥の名著『世界黴毒史』と秦佐八郎のサルヴァルサン効果 38第3章 ムラージュ展示室と植物標本 北海道大学総合博物館・札幌 45
1 日本では珍しいムラージュ常設展示室 46
2 伊藤が後任指名を考えた弟子・南条議雄 48
3 ムラージュが語る歴史 絶滅した「天然痘」を知る手段 49
4 日本のムラージュの「父」・伊藤の前歴 植物学者・宮部金吾とのフィールドワーク 53第4章 北陸伝播 金沢大学医学記念館 57
1 土肥章司教授着任時の御仕度 伊藤の銘入りムラージュ 58
2 金大のムラージュ師・斉藤要三郎 遊び心あふれる横綱の手形 60
3 山越長七(山越工作所)と眼病模型 64第5章 PILZE(ピルツェ) 水虫またはキノコ 北海道大学植物園、東京大学医学図書館ほか 69
1 キノコと皮膚科 70
2 土肥の後継者・太田正雄と白癬菌研究 71
3 大御所サブローと『ぞうさんババール』の意外な結び付き 75
4 カプセルに入ったキノコ標本 エゾリスが暮らす植物園 77第6章 南へ 九州での挑戦 九州大学医学部皮膚科学教室 85
1 まずは九大ムラージュ師の師匠から 元寇画家・矢田一嘯 86
2 初代教授・旭憲吉 西日本皮膚科の祖 87
3 新島伊三郎のムラージュ 89
4 二代教授・皆見省吾 土肥の『世界黴毒史』ドイツ語訳と先天性梅毒児 92第7章 ムラージュの灯、消える 失われた日本の技術 名古屋大学博物館 97
1 最後の直系ムラージュ師 孤高の人・長谷川兼太郎 98
2 田村春吉と名古屋へ、そして太田正雄に請われて奉天へ 99
3 戦後、名古屋での活躍 101
4 常設棚と企画展「ムラージュ」 106第8章 異端の蝋模型師 沼田仁吉 北里研究所・東京大学医科学研究所・目黒寄生虫館 111
1 沼田の上司・宮島幹之助とツツガムシ病 112
2 一九一一年開催のドレスデン国際衛生博覧会 ドイツでの沼田の足跡 115
3 衛生啓蒙活動と感染症関連 117
4 沼田の晩年 目黒寄生虫館の模型 120
5 沼田の虫卵模型から ミヤイリガイと「日本住血吸虫」 123第9章 ムラージュの未来 ドレスデン・ドイツ衛生博物館 129
1 ドイツ衛生博物館というユニークな存在 130
2 黎明期のムラージュを理解し、奨励したドイツ詩人ゲーテ 134
3 日独ムラージュ研究史の概観と比較 135
4 DHMDのムラージュと修復技術者ラング氏 138
エピローグ ドレスデンの空の下で 147
撮影後記 受苦のポートレート[大西成明] 150
謝辞と補足 153
主要文献リスト [163-156]