『月刊みすず(57巻1号[no. 634]2015年1-2月合併号)』を読む

(2015年2月1日発行,みすず書房,東京,本体価格300円 → 版元ページ) 毎年2月はじめにこの特集号を読むのは年中行事のひとつとなっている.今年はサイエンス系の本がいつもより少ないかも.ワタクシの寄稿は pp. 92〜93.挙げた本たちはこちら:leeswijzer…

『情報の科学と技術, vol. 62, no. 2, 2012年2月』

→ 目次|CiNii [pdf: open access].『キャプテン・クック探検航海と『バンクス花譜集』展』(2014年,Bunkamura ザ・ミュージアム, 東京,159 pp. → 目次)のような博物館の展示図録は「灰色文献(gray literature)」なので,見つけたらその場でゲットする…

「leeswijzer 開設10年目」

今日2015年1月9日は,ワタクシの本録〈leeswijzer〉のブログ開設以来ちょうど10年目に当たる.本録開始の2005年1月9日の日録には次のように記している: 日録に散在する【本】の情報(新刊・古書を問わず)だけをピックアップして,“はてな”に置くことにしま…

『月刊みすず』「読書アンケート」用セレクション5冊+次点5冊

毎年恒例となったみすず書房の『月刊みすず』の年頭「読書アンケート」特集.原稿はまだ書いていないけど,今回は下記の5冊を選び,次点5冊と合わせて下記の通りリストアップした: 今年の5冊 【書名】The Book of Trees: Visualizing Branches of Knowledge…

「心理学者が教える少しの努力で大作を書く/多作になるためのウサギに勝つカメの方法」

読書猿Classic: between / beyond readers(2013年9月8日) → http://readingmonkey.blog45.fc2.com/blog-entry-704.html とても参考になる記事.この記事で「binge writer」ということばを初めて知った.文章があふれるように書けるときはいいんだけど,い…

〈leeswijzer〉のアクセスがやっと「300万台」に!

2005年1月9日に開設した本録〈leeswijzer〉が,本日11月1日をもって300万ページビューを突破した.2009年11月4日の100万PV到達に4年10ヶ月,2012年4月22日の200万PVまでには2年5ヶ月,そしてこのたびの300万PVには2年6ヶ月かかった.本の情報を毎日欠かさず…

「原稿料か,印税か」

商業雑誌に書いたときは「原稿料」,単行本を書いたときは「印税」と単純に考えていたが,必ずしもそうではないことをきのう知った.単行本でも買い取りの「原稿料」として支払われる場合がある.業者丸投げの発注原稿だったら,本であっても「原稿料」とい…

「本書きのロールモデル」

ふらりと来室した研究者との立ち話.彼いわく,そろそろ単著で本を書きたいのだがいったいどう動いていいのかと.まずはどこかの出版社のいずれかの編集者にアピールして,自著の企画をもちこむのが先決だろうと答えたのだが,実はそれとは別の問題がありそ…

「ジャーナル飢餓はさらに進む」

農環研が公費購入する雑誌の選定アンケートの返信.これほど主要ジャーナルまで切り詰められたら,ほとんど “図書室” としての価値はなくなるような気がするが.年々,図書購入費は削減されるのにジャーナル購読代金はうなぎのぼりだから,事情はよくわかる…

「無差別にすべて記録すること」

ワタクシは大学の学部卒業以来の全アウトプットを記録に残していて,テキストファイルにして220KBの分量がある.自分の研究活動は自分ですべて記録しておかないと,節目節目でとても困ったことになる(自分だけではなく周囲の人たちも).ワタクシの場合は,…

「著者献呈本の運命さまざま」

古書店経由で購入した本が「著者献呈本」である確率は小さくない.自筆サイン本ならば著者の知人に贈られたものであることがわかる.その一方で,「謹呈カード」がはさまれたものはもう少し “縁” が薄い知り合いへの儀礼的な献呈本なのだろうと推察される.…

「『山の上ホテル』執筆プラン」

→ http://www.shinchosha.co.jp/tosho/yamanoue_hotel.html 新潮社の自費出版限定プランとして募集されている.「数多の文人に愛され続ける「山の上ホテル」.あこがれの作家と同じ部屋で、あなたも作品創りをしませんか」― このキャッチーな宣伝に乗るのは…

「大学「オープンラボ」普及へ 研究室、壁を外し交流を」

日本経済新聞(2014年8月12日) → http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG14022_R10C14A8CR8000/ 「お互いに研究の様子が目に触れるようにし、実験の進捗などについて自然と情報交換が行われる」― こういう愚案を農水省はけっしてマネしないように.大部屋…

「学者どもに翻訳をやらせるなっ」

The cape of an island の三連記事: 「岩波あとがき引用」(2010年8月11日)※岩波文庫(白帯)から翻訳刊行遅延の「おわびの言葉」ピックアップ.10年,20年,30年と遅れまくるのか……(_φ(・・). 「翻訳者「25年前に頼まれた翻訳オワタ\(^o^)/」出版社…

〈「学者・専門家」から「職業翻訳者」への出版翻訳の主体の移行について〉

→ http://togetter.com/li/683806 ワタクシのツイートをまとめていただきどーもどーもです.誤訳・悪訳・欠陥翻訳と読者に誹られないための苦労は翻訳者だけが知っている.翻訳書の「でき」のよしあしについては,各人それぞれ甘かったり苦かったりする読書…

〈翻訳通信・ネット版〉

→ http://www.honyaku-tsushin.net/ 先年亡くなった翻訳家・山岡洋一さんが発行していた『翻訳通信』のウェブ版.職業翻訳の立場からみた「翻訳」についてのエッセイが満載.つい読み込んでしまう.〈翻訳とは何か〉というコーナーの「新世代の翻訳家に期待…

「数式による汚染と除染」

Tim W. Fawcett and Andrew D. Higginson | Heavy use of equations impedes communication among biologists | 25 June 2012 doi: 10.1073/pnas.1205259109.生態学・進化学の分野では,論文の「数式密度」が高いと引用されにくくなるという主張.論文執筆…

「蒐書は流転する」

ひとりの研究者が蒐集した書籍・雑誌・論文は,退職引退したりあるいは逝去したあとは,潔く古書業界に流してしまうのが最善の選択肢ではないかと思う.在籍した大学や研究機関が個人蔵書を引き取って “未来永劫にわたって” 保管し続けてくれる可能性は現在…

「本を読み終えたら書評文を書きましょう」

ワタクシのオンライン書評記事を宣伝に使いたいとの申し出が出版社からあった.どーぞどーぞお使いください.販促のお役に立てれば幸いです.日本の書評文化の昔からの特徴だろうか,長めの書評記事を日本語で読む機会があまりない(新聞・雑誌の書評欄もそ…

「電子ジャーナル高騰 大学経営を圧迫 海外論文の閲覧困難 研究阻害も」

SankeiBiz(2014年6月2日)→ http://www.sankeibiz.jp/express/news/140602/exc1406020950002-n1.htm 「図書予算の中で電子ジャーナルの比率が増えた結果、紙の学術雑誌の購読を打ち切らなくてはならなくなった」.近い将来,経費的なカタストロフが襲来して…

「本か論文か?台湾社会学者の学術コミュニケーション選択:3人の専門家へのインタビュー」

川上桃子 (2013年9月公開,日本貿易振興機構・アジア経済研究所「海外研究員レポート」→ html | pdf [open access]) 台湾での人文社会科学コミュニティーでの出版をめぐる現状に関する現状レポートだが,日本にもかなり当てはまる興味深い内容だ.もちろん…

「論文も残さず “完食” しよう」

Y!ニュース・中原淳「論文が読まれなくなっている!?・・・「研究のカプセル化」と「読者のいない論文」」(2014年2月26日)※論文はもともと研究者が自分のために書いているだけなので,他の読者に読まれるかどうかはどうでもいいこと.ジャーナルのインパク…

「本は残さず “完食” しよう」

YOMIURI ONLINE「本を読まない大学生、初めて4割超す…生協調査」(2014年2月26日).要するに「本」を丸ごと読まなくなってきたということね.「本」ではない「活字情報」であれば,もっと “摂取” しているだろうけど.研究者であっても,自分の専門分野の…

〈エディターソフト六選〉

常日頃からお世話になっているエディターソフトウェア.ワタクシの場合は,プログラミング(html入力)よりもむしろ日常的な文章入力(原稿書き)に使うことが多い.Mac OS X でも Windows でも,高機能でしかもフリーなエディターがいくつも利用可能なのは…

『月刊みすず(no. 623:2014年1-2月合併号)』を読む

(2014年2月1日発行,みすず書房,東京,本体価格300円 → 版元ページ) もう年中行事のひとつとなっている書評特集.ワタクシの寄稿は pp. 83〜85 に載っている.全体をブラウズしてメモクリップ: #月刊みすず読書アンケート 小西正捷(pp. 6-7)が昨年逝去…

「電子書籍、消える蔵書 企業撤退で読めなくなる例も データ、所有権なし」

朝日新聞デジタル(2014年1月30日) → http://www.asahi.com/articles/DA3S10952125.html 素朴な疑念として「電子本」にはそもそも “蔵書” という概念とは相容れないのではないか.アレは本ではない.お金の続くかぎり,提供元が存続するかぎり,「いつでも…

『月刊みすず』「読書アンケート」用セレクション5冊+次点10冊

毎年恒例となったみすず書房の『月刊みすず』の年頭「読書アンケート」特集.今回は下記の5冊を選び,次点10冊と合わせてリストアップした: 今年の5冊 【書名】科学を語るとはどういうことか:科学者、哲学者にモノ申す 【著者】須藤靖・伊勢田哲治 【刊行…

「実家の蔵書整理」

今年も “読了未遂” のまま放り出してしまった本が何冊もある.そういう本のあるものはまだ読むべき時期ではなかったのだろう.新酒で飲むべき酒と熟成させて飲むべき酒のちがいのようなもの.年末年始用の本を何冊か選び,残りは研究室で静かに年を越す.毎…

「本への「書き込み」について」

つい最近,図書資料への “書き込み” に関するドキュメントを目にする機会があった: 一橋大学大学院国際企業戦略研究科図書室「本に書き込みしないでください」 筑波大学附属図書館「本に書き込みすることに関する資料集」(2013年8月9日) これらのドキュメ…

「雑誌が買えなくなりました(orz)― 後日譚」

前記事「雑誌が買えなくなりました(orz)」(2013年7月29日)の続き —— 農環研次年度購入雑誌に関する二次調査アンケートを返信完了.Wiley の一括購読を中止することになった.残された予算枠での “復活折衝” がこれから始まるが,かなり多くの進化学・体…