『中国料理の世界史:美食のナショナリズムをこえて』目次

間一弘
(2021年9月20日刊行,慶應義塾大学出版会,東京, xii+571+67 pp., 本体価格2,500円, ISBN:978-4-7664-2764-6版元ページ

中国の食文化が全世界にどのように伝播していったかをさまざまな資料に基づいて考察している.いわゆる “料理エッセイ本” とはまったく異なる食文化進化本.中国料理にまつわるさまざまな “俗説” や “うわさ話” を心地よく成敗してくれるらしい.読むのが楽しみ.650ページ超の大冊にもかかわらず,本体価格2,500円とはまさに価格破壊.慶應義塾大学出版会は太っ腹!


【目次】
序章 中国料理から見える世界史 1

第一部 中国料理の形成――美食の政治史

第1章 清国の料理――宮廷料理から満漢全席へ 35
第2章 近代都市文化としての中国料理――北京・上海・重慶・香港の料理 61
第3章 中国の国宴と美食外交――燕の巣・フカヒレ・北京ダック 101
第4章 ユネスコ無形文化遺産への登録申請――文思豆腐から餃子へ 134
第5章 台湾料理の脱植民地化と本土化――昭和天皇・圓山大飯店・鼎泰豊 150
第6章 豆腐の世界史――ナショナリズムからグローバリズムへ 181

第二部 アジアのナショナリズムと中国料理

第1章 シンガポールとマレーシア――海南チキンライス・ホーカー・ニョニャ料理の帰属 197
第2章 ベトナム――フォーとバインミーに見る中国とフランスの影響 240
第3章 タイ――パッタイ国民食化・海外展開へ至る道 265
第4章 フィリピン――上海春巻きや広東麺が広まるまで 288
第5章 インドネシア――オランダ植民地・イスラーム教と中国料理の苦境 303
第6章 韓国――ホットク・チャプチェ・チャンポン・チャジャン麺 325
第7章 インド――赤茶色の四川ソース 359

第三部 米欧の人種主義とアジア人の中国料理

第1章 アメリカ合衆国――チャプスイからパンダエクスプレスまで 367
第2章 イギリス――チャプスイ・中国飯店・中国料理大使 435
第3章 ヨーロッパ・オセアニアラテンアメリカ――中国料理の文化的意味の多様性 461

第四部 日本食と中国料理の境界――世界史のなかの日本の中国料理  

第1章 近代という時代――偕楽園・チャプスイ・回転テーブル・味の素 499
第2章 近代から現代へ――ラーメン・陳建民・横浜中華街・中華おせち 528
終章 国民国家が枠づける料理のカテゴリー 557

 

後記 565

 

註 [44-67]

 

図版出典一覧 [42-43]
主要参考文献 [16-41]
索引 [1-15]