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『採集民俗論』読売新聞書評

野本寛一 (2020年11月20日刊行,昭和堂,京都, xiv+707+xiv pp., 本体価格7,500円, ISBN:978-4-8122-1823-5 → 目次|版元ページ)読売新聞ヴィジュアル評が公開された:三中信宏「野本寛一著「採集民俗論」」(2020年12月20日掲載|2020年12月28日公開)※これがワタクシの読売書評の最後です. 農耕牧畜以前の人間社会は自然の恵みに生存の糧を頼る狩猟採集社会だったと言われている。昨年出た『生きもの民俗誌』とこの新刊『採集民…

『ホッキョクグマ:北極の象徴の文化史』読売新聞書評

マイケル・エンゲルハード[山川純子訳] (2020年8月5日刊行,白水社,東京, 345 pp., 本体価格12,000円, ISBN:978-4-560-09746-5 → 版元ページ)読売新聞大評が公開された:三中信宏「漂白された北極熊伝説 —— ホッキョクグマ 北極の象徴の文化史」(2020年12月13日掲載|2020年12月21日公開). 漂白された北極熊伝説 先日、酷寒のカナダ北極圏で懸命に生きるホッキョクグマ母子の生態をレポートしたあるテレビ番組を見る機会があった…

『統計学を哲学する』読売新聞書評

大塚淳 (2020年10月30日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, iv+242 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-8158-1003-0 → 目次|版元ページ)読売新聞大評が公開された:三中信宏「科学哲学の新たな到来 —— 統計学を哲学する 大塚淳著 名古屋大学出版会 3200円」(2020年12月6日掲載|2020年12月14日公開). 科学哲学の新たな到来 評者は方々の大学や農業試験場で統計学を教えた経験が長い。統計学と聞けばすぐさま難解な数学や数式…

『驚異の標本箱 -昆虫-』読売新聞書評

丸山宗利・吉田攻一郎・法師人響 (2020年10月16日刊行,KADOKAWA, 東京, 159 pp., 本体価格4,800円, ISBN:978-4-0404-109434-1 → 版元ページ)読売新聞ヴィジュアル評が公開された:三中信宏「丸山宗利、吉田攻一郎、法師人響著「驚異の標本箱―昆虫―」 」(2020年11月29日掲載|2020年12月7日公開). “箱の魔術師”と呼ばれたジョゼフ・コーネルは小箱にさまざまなものを詰め、ミクロコスモス芸術を創造した。大判の本書もま…

『学術書を読む』読売新聞書評

鈴木哲也 (2020年10月10日刊行,京都大学学術出版会,京都, 138 pp., 本体価格1,500円, ISBN:978-4-8140-0301-3 → 目次|版元ページ)読売新聞大評が公開された:三中信宏「外へと踏み出す読書論 —— 学術書を読む 鈴木哲也著 京都大学学術出版会 1500円」(2020年11月22日掲載|2020年11月30日公開). 外へと踏み出す読書論 本紙読書委員としての評者の任期は残りわずかだ。書評は著者と読者をつなぐ“パイプ”だと評者はずっと…

『標本バカ』読売新聞書評

川田伸一郎(著)・浅野文彦(絵) (2020年10月8日刊行,ブックマン社,東京, 335 pp., 本体価格2,600円, ISBN: 978-4-89308-934-2 → 版元ページ)読売新聞小評が公開された:三中信宏「標本バカ 川田伸一郎著」(2020年11月15日掲載|2020年11月24日公開) 博物館に陳列されているさまざまな動物の剥製標本は来館者の好奇心をふくらませ想像力をかきたてる。野生では絶滅してしまった動物の剥製もある。しかし、いずれもきれいに整形された…

『イタリア料理大全:厨房の学とよい食の術』読売新聞書評

ペッレグリーノ・アルトゥージ[工藤裕子監訳|中山エツコ・柱本元彦・中村浩子訳] (2020年7月15日刊行,平凡社,東京, 717 pp., 本体価格8,800円, ISBN:978-4-582-63222-4 → 版元ページ)読売新聞大評が公開された:三中信宏「19世紀末のレシピ集成 —— イタリア料理大全 厨房の学とよい食の術 ペッレグリーノ・アルトゥージ著」(2020年11月1日掲載|2020年11月9日公開) 19世紀末のレシピ集成 日常的な厨房での作業は目の前の食材…

『世界のカエル大図鑑』読売新聞書評

ティム・ハリデイ[吉川夏彦・島田知彦・江頭幸士郎監修|倉橋俊介・坂東智子・日野栄仁・世波貴子訳] (2020年9月25日刊行,柏書房,東京, 656 pp., 本体価格10,000円, ISBN:978-4-7601-5235-3 → 版元ページ)読売新聞小評が公開された:三中信宏「世界のカエル大図鑑 ティム・ハリデイ著」(2020年10月11日掲載|2020年10月19日公開). 全世界の代表的なカエル600種を集めた大図鑑。みごとなカラー写真の数々と解説文はカエルに対する…

『わさびの日本史』読売新聞書評

山根京子 (2020年8月20日刊行,文一総合出版,東京, viii+240+32 pp., 本体価格2,500円, ISBN:978-4-8299-7233-5 → 版元ページ)読売新聞小評が公開された:三中信宏「わさびの日本史 山根京子著」(2020年10月4日掲載|2020年10月13日公開): 世の中には唐辛子を論じた本はたくさんあるのに、同じく“辛さ”を身上とするわさびの本がほとんどないのは不公平きわまりない。 わさび色のカバーにくるまれた本書は、この食用植物の進化…

『植物園の世紀:イギリス帝国の植物政策』読売新聞書評

川島昭夫 (2020年7月10日刊行,共和国,東京, 237 pp., 本体価格2,800円, ISBN:978-4-907986-66-7 → 目次|版元ページ|版元ドットコム|「はじめに——著者に代わって[志村真幸]」)読売新聞大評が公開された:三中信宏「植民地植物園の政治学 —— 植物園の世紀 川島昭夫著」(2020年9月27日掲載|2020年10月5日公開). 植民地植物園の政治学 薄緑色の透き通った帯を外すと本書の表紙全面に名画<バウンティ号の反乱>があしらわれてい…

『地図とグラフで見る第2次世界大戦』読売新聞書評

ジャン・ロペズ(監修)|ヴァンサン・ベルナール,ニコラ・オーバン(著)|ニコラ・ギルラ(データデザイン)[太田佐絵子訳](2020年5月30日刊行,原書房,東京, 195 pp., 本体価格8,000円, ISBN:978-4-562-05758-0 → 版元ページ)読売新聞大評が公開された:三中信宏「データ・デザインの労作 —— 地図とグラフで見る第2次世界大戦 V・ベルナール+N・オーバン著」(2020年9月13日掲載|2020年9月23日公開). データ・デザインの労作…

『専門知を再考する』読売新聞書評

H・コリンズ,R・エヴァンズ[奥田太郎監訳|和田慈・清水右郷訳] (2020年4月25日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, viii+179+30 pp., 本体価格4,500円, ISBN:978-4-8158-0986-7 → 目次|版元ページ)読売新聞大評が公開された:三中信宏「新たな科学像の構築へ —— 専門知を再考する H・コリンズ、R・エヴァンズ著」(2020年8月30日掲載|2020年9月7日公開) 新たな科学像の構築へ 原発事故やコロナ禍など大きな社会問題が浮上…

『新種の発見:見つけ、名づけ、系統づける動物分類学』読売新聞書評

岡西政典 (2020年4月25日刊行,中央公論新社[中公新書・2589],東京, 2 color plates + viii + 252 pp., 本体価格860円, ISBN:978-4-12-102589-0 → 目次|版元ページ)読売新聞大評が公開されました:三中信宏「分けて名づけるパトス —— 新種の発見 岡西政典著」(2020年8月2日掲載|2020年8月11日公開) 動物分類学の魅力を伝えるこの新書は多くの読者を得るだろう.テヅルモヅルなる珍妙な生きものを通して見…

『大学教授が、「研究だけ」していると思ったら、大間違いだ!: 「不人気学科教授」奮闘記』読売新聞書評

斎藤恭一 (2020年5月15日刊行,イースト・プレス,東京, 253 pp., 本体価格1,400円, ISBN:978-4-7816-1878-4 → 版元ページ)読売新聞小評が公開されました:三中信宏「大学教授が、「研究だけ」していると思ったら、大間違いだ! 斎藤恭一著」(2020年7月19日掲載|2020年7月28日公開) 書名がすべてを物語る。つかみどころのない学生たちへの教育と指導の戸惑い、大学内外の煩わしい数々の雑務、高校への出前講座、企業との共同研究、研究資金…

『〈美しい本〉の文化誌:装幀百十年の系譜』読売新聞書評

臼田捷治 (2020年4月17日刊行,Book&Design,東京, 16 color plates + 318 pp., 本体価格3,000円, ISBN:978-4-909718-03-7 → 目次|版元ページ)読売新聞大評が公開された:三中信宏「紙の本に秘められた力 —— <美しい本>の文化誌 臼田捷治著」(2020年7月5日掲載|2020年7月13日公開). 紙の本に秘められた力 よい装幀は“紙の本”に秘められたかぎりない可能性を解き放つ。数年前、神田錦町にある竹尾見…

『怪異の表象空間:メディア・オカルト・サブカルチャー』読売新聞書評

一柳廣孝 (2020年3月23日刊行,国書刊行会,東京, 360+XIX pp., 本体価格3,600円, ISBN:978-4-336-06577-3 → 版元ページ)読売新聞小評が公開された:三中信宏「怪異の表象空間 一柳廣孝著」(2020年6月21日掲載|2020年6月29日公開)※一柳廣孝『怪異の表象空間:メディア・オカルト・サブカルチャー』(2020年3月,国書刊行会).真の “怪異” は人の心の中にある. “怪異”ということばは私たちの心をざわりと逆なでする。そん…

『生命の〈系統樹〉はからみあう:ゲノムに刻まれたまったく新しい進化史』読売新聞書評

デイヴィッド・クォメン[的場知之訳] (2020年2月29日刊行,作品社,東京, 8 plates + 376 + 60 pp., 本体価格3,600円, ISBN:978-4-86182-796-9 → 目次|版元ページ)読売新聞の大評が公開された:三中信宏「進化はネットワークだ —— 生命の〈系統樹〉はからみあう デイヴィッド・クォメン著 作品社 3600円」(2020年6月7日掲載|2020年6月15日公開) 進化はネットワークだ 生物進化を枝分かれする“系統樹”とみな…

『京大吉田寮』読売新聞書評

平林克己(写真)|宮西建礼・岡田裕子(文) (2019年12月6日刊行,草思社,東京, 79 pp., 本体価格2,000円, ISBN:978-4-7942-2425-5 → 版元ページ|吉田寮記録プロジェクト)読売新聞ヴィジュアル評が公開された:三中信宏「平林克己・写真、宮西建礼、岡田裕子・文 「京大吉田寮」 」(2020年5月24日掲載|2020年6月1日公開) 洛東の京都大学吉田キャンパス南端にある吉田寮は1世紀を超える現存する日本最古の学生自治寮だ。このカラー写真集…

『進化のからくり:現代のダーウィンたちの物語』読売新聞書評

千葉聡 (2020年2月20日刊行,講談社[ブルーバックス・B2125],東京, 262 pp., 本体価格1,000円, ISBN:978-4-06-518721-0 → 目次|版元ページ)読売新聞の小評が公開されました:三中信宏「進化のからくり 千葉聡著」(2020年5月17日掲載|2020年5月25日公開). カタツムリの“恋”を唄ってきた吟遊詩人はときに大冒険に挑む。小笠原の南硫黄島調査隊をレポートしたある報道番組で、この人跡未踏の絶壁の島によじ登りひたすら固有種の陸…

『南方熊楠のロンドン:国際学術雑誌と近代科学の進歩』読売新聞書評

志村真幸 (2020年2月20日刊行,慶應義塾大学出版会,東京, viii+280+6 pp., 本体価格4,000円, ISBN:978-4-7664-2650-2 → 目次|版元ページ)読売新聞小評が公開されました:三中信宏「南方熊楠のロンドン 志村真幸著」(2020年5月10日掲載|2020年5月18日公開) 現代の科学者にとってネイチャー誌に論文が掲載されることは栄光の証である。だから、南方熊楠がロンドンに遊学していた19世紀末から帰国後の20世紀初頭にかけて、そのネ…

『SS先史遺産研究所アーネンエルベ:ナチスのアーリア帝国構想と狂気の学術』読売新聞書評

ミヒャエル・H・カーター[森貴史監訳|北原博・溝井裕一・横道誠・舩津景子・福永耕人訳] (2020年2月29日刊行,ヒカルランド,東京, 797 pp., 本体価格9,000円, ISBN:978-4-86471-827-1 → 目次|版元ページ)読売新聞大評が公開された:三中信宏「ナチスを支えた科学者 —— SS先史遺産研究所アーネンエルベ」(2020年5月3日掲載|2020年5月11日公開)※本書は厚さ800ページで9000円.挑戦的な価格設定ではあるがけっして高くはない…

『オーケストラ:知りたかったことのすべて』読売新聞書評

クリスチャン・メルラン[藤本優子・山田浩之訳] (2020年2月17日刊行,みすず書房,東京, vi+541+55 pp., 本体価格6,000円, ISBN:978-4-622-08877-6 → 目次|版元ページ)読売新聞の大評が公開された:三中信宏「トラブルと奇跡の宝庫 —— オーケストラ 知りたかったことのすべて クリスチャン・メルラン著」(2020年4月19日掲載|2020年4月27日公開).欧米の有名オーケストラの歴史と内情に通じた著者が描くオーケストラという “…

『酒場の京都学』読売新聞書評

加藤政洋 (2020年1月30日刊行,ミネルヴァ書房,京都, xiv+232+ii pp., 本体価格2,500円, ISBN:978-4-623-08802-7 → 版元ページ)読売新聞の大評が公開された:三中信宏「薄暗がりの現実と幻影 —— 酒場の京都学 加藤政洋著 ミネルヴァ書房」(2020年3月29日掲載|2020年4月8日公開) 薄暗がりの現実と幻影 評者が大学の学部生だったころ、父親に初めて連れられて夜の京都市内に飲みに行ったことがある。河原町通の繁華街から一筋中…

『リクルートスーツの社会史』読売新聞書評

田中里尚 (2019年10月10日刊行,青土社,東京, 526+vi pp., 本体価格3,600円, ISBN:978-4-7917-7206-3 → 目次|版元ページ)読売新聞の大評が公開されました:三中信宏「多様化と進化繰り返す —— リクルートスーツの社会史 田中里尚著 青土社 3600円」(2020年3月15日掲載|2020年3月23日公開) 多様化と進化繰り返す 今年もまた就活シーズン開幕とともに街にはリクルートスーツ姿の若者が行き交う。本書によれば“リクルートス…

『確率と哲学』読売新聞書評

ティモシー・チルダーズ[宮部賢志監訳|芦屋雄高訳] (2020年1月30日刊行,九夏社,東京, 325 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-909240-03-3 → 目次|版元ページ)読売新聞大評が公開された:三中信宏「確からしさとは何か? —— 確率と哲学 ティモシー・チルダーズ著」(2020年3月8日掲載|2020年3月16日公開): 確からしさとは何か? 世の中には起こるかどうかが不確実なできごとがたくさんある。その確からしさの程度は「確率」という…

『利己的遺伝子の小革命:1970-90年代 日本生態学事情』読売新聞書評

岸由二 (2019年11月18日刊行,八坂書房,東京, 278 pp., 本体価格3,500円, ISBN:978-4-89694-174-6 → 目次|版元ページ)読売新聞大評が公開された:三中信宏「現代生態学の〝戦記〟— 利己的遺伝子の小革命 岸由二著 八坂書房」(2020年2月23日掲載|2020年3月2日公開): 現代生態学の〝戦記〟 地道な研究の蓄積は科学を推進する。しかし、実験観察とデータ収集だけがすべてではない。科学者個人あるいは研究者コミュニティーがたどってき…

『土とワイン』読売新聞書評

アリス・ファイアリング,スカリーヌ・ルペルティエ[小口高・鹿取みゆき(監修)|村松静枝訳] (2019年12月28日刊行,エクスナレッジ,東京, 471 pp., 本体価格2,400円, ISBN:978-4-7678-2651-6 → 目次|版元ページ)読売新聞大評が公開された:三中信宏「ワインづくりの地質学」(2020年2月16日掲載|2020年2月25日公開): ワインづくりの地質学 ワイン醸造にまつわる“テロワール”という不思議なことばがある。ワイン産地の気候・標高・…

『マツタケ:不確定な時代を生きる術』読売新聞書評

アナ・チン[赤嶺淳訳] (2019年9月17日刊行,みすず書房,東京, xiv+441+xxiv pp., 本体価格4,500円, ISBN:978-4-622-08831-8 → 目次|版元ページ).読売新聞大評が公開されました:三中信宏「変幻自在のネットワーク —— マツタケ 不確定な時代を生きる術 アナ・チン著」(2020年2月2日掲載|2020年2月10日公開) 変幻自在のネットワーク 『マツタケ』というメインタイトルと『南方熊楠菌類図譜』風のカバージャケット図柄だけ…

『アリストテレス:生物学の創造[上・下]』読売新聞書評と読書メモ

アルマン・マリー・ルロワ[森夏樹訳] 『アリストテレス 生物学の創造[上]』(2019年9月17日刊行,みすず書房,東京, viii, pp. 1-291, 63, 本体価格3,800円, ISBN:978-4-622-08834-9 → 目次|版元ページ) 『アリストテレス 生物学の創造[下]』(2019年9月17日刊行,みすず書房,東京, iv, pp. 293-586, 35, 本体価格3,800円, ISBN:978-4-622-08835-6 → 目次|版元ページ)…

『ベトナムの大地にゴングが響く』読売新聞書評

柳沢英輔 (2019年11月1日刊行,灯光舎,京都, x+311+6 pp., 本体価格2,700円, ISBN:978-4-909992-00-0 → 目次|版元ページ|著者サイト)読売新聞小評が掲載された:「ベトナムの大地にゴングが響く…柳沢英輔著」(2020年1月12日掲載|2020年1月20日公開)※ベトナムのゴングセットはトゥーランドット姫を呼び寄せる. ベトナム中部高原のゴング音楽文化に関する新刊。紀元前から継承されてきた金属打楽器のゴングは葬礼儀式など先住民族の…